河馬を放つ
坪内稔典さんの長年の夢は、全国の動物園のカバに会いに行くことだった。
(佛大通信vol.453 ここ)
ぼくが子どもの頃、カバは動物園の人気者でした。でも、いまはコアラやパンダなどかわいい動物が人気ですね。カバは大きくて、お腹も出ていて、短足で、顔も不細工だし……。子どもたちがあまり見てくれないものだからカバの数はどんどん減っていって、現在では全国に60数頭を数えるきり。それを全部見に行きたいというのがぼくの夢です。
俳句総合誌の「俳句研究」1月号から坪内さんの「全国カバ図鑑」という連載が始まった。どうやら夢が実現したらしい。(笑)今月号は、熊本市動植物園のザブコ(メス34歳)とケンポー(メス33歳)の巻。ケンポーは1971年5月3日の憲法記念日に生まれたので、ケンポーなのだ。

ところで、大好きなカバに会いに行った熊本で坪内さんはびっくりするようなニュースを耳にする。
この熊本市動植物園というのは水前寺海苔でも知られる江津湖のすぐ近くにあるのだが、この江津湖にカバを放つ計画があるというのである。
もちろん、こういう話はすんなり実現はむつかしいものだが、日本のそれなりに広い水辺でカバが元気にザブザブやってる光景なんて、なかなかいい景色ではあるまいか。
この江津湖というのは、坪内さんも「全国カバ図鑑」の中で書いておられるけれど。中村汀女や歌人の安永蕗子のふるさとといってもいいところだ。
うき草の寄する汀や阿蘇は雪
中村汀女
はなびらを幾重かさねて夜桜のあはれましろき花のくらやみ
安永蕗子
そこにカバが悠々と水浴びしたり泳いだりする。わたしはいいと思うんだがなあ。
もっとも実際のカバくんはかなり危険な動物で、一説によれば、アフリカでは、かつては(いまでも?)ライオンに殺される人間よりカバに殺される人の方が多かったんだそうですな。安全対策はくれぐれも適切にね。
註記)写真は『みんなのかお』さとうあきら写真/とだきょうこ文(福音館書店/2003)のカバの頁。左の真ん中のカバが熊本市動植物園のカバ。ザブコかケンポーかはわからない。この写真集は国内の動物園のいろいろな哺乳類を正方形の写真にして並べたすごく楽しい本で、オススメ。
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コメント
square group 所属の僕にはたまらなそうな写真集です・笑
投稿: たまき | 2004/12/15 21:24
やあ、どうも。
そうそう、ではこの写真もsquare groupに上げておこっと。真四角のなかに真四角の写真が並んで。(笑)
なんのことかわからない方もいらっしゃるかもしれないので蛇足を書いておきます。
写真をインターネットを介して分け合う(見せ合うでもいいけど)Flickrというサービスがありまして、たまきさんも、わたしもここを通じて知り合ったのね。このFlickrはメンバーがいろんなグループをつくって遊んでいる。で、square group てのは、どんな写真でもOK、それが真四角にトリミングされていれば、というグループなわけ。
興味があるかたは、↓をクリックしてみてください。
http://www.flickr.com/groups/squareimg/pool/?added=1
投稿: かわうそ亭 | 2004/12/16 15:51