鬱のかわうそ
その筋の人は「ウタハイ」などと言うらしい。
新聞歌壇と新聞俳壇のことである。なかでも明治43年に石川啄木を選者として始まった朝日歌壇は、伝統もあるので注目を集める。昨年まで選者は近藤芳美・馬場あき子・佐佐木幸綱・島田修二だったが、島田さんが亡くなったので高野公彦に代わり、このたび、近藤さんが選者を退いて永田和宏と交代する。それほど熱心な読者でもないのだが、朝日歌壇の歌はつまらん歌が多いなぁと前から思っていた。永田和宏選で多少変化はあるのだろうか。
今日たまたま読んでいた永田さんの歌集に、「鬱のかわうそ」なる一連があって、おもわずこれはオレのことかいな、と苦笑い。
今夜われは鬱のかわうそ 立ち代わり声をかけるな理由を問うな
うつうつと本を立て並めかわうそはうつらうつらと酒を舐めおる
永田和宏歌集「饗庭」より
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コメント
その筋でないので「ウタハイ」もはじめて知りました。
郷隼人氏の歌だけは、いつの頃からか自然と目に留まるようになり、しばらく気になっていましたが、そういえばいつのころからか、何曜日に載っているかもわからなくなってしまってました。
永田和宏氏は、時刻表示がわりにつけていたTVで、昨日はじめて拝見しました。もちろん、かわうそさまはもっとお若くていらっしゃるのでしょうけど、勝手なイメージが重なってしまいそうです。
投稿: ミラー | 2005/01/30 13:34
アメリカの郷隼人さんはやはり目をひきますね。あと、同じようにお名前を見かけてうれしいのはオランダのモーレンカンプ冬子さんかな。
一瞬で人を殺めし罪の手と うた詠むペンを持つ手は同じ
郷隼人
投稿: かわうそ亭 | 2005/01/30 20:33