石油に次ぐ国際商品は
『楽園の骨』アーロン・エルキンズ/青木久恵訳(ハヤカワ文庫/1997)から。今回の舞台はタヒチのコーヒー農園。
ルディは人に口を出させまいと決めると、ちっとやそっとでは譲らない。コーヒー産業が三千万人近い雇用を生み出しているのを、皆知っているのか。地球上でもっとも取引量の多い品物が何か、分かる人がいるか。
「コーヒーじゃないかい」とジョンが調子を合わせるように言った。
「残念でした」とルディ。「石油さ。では、世界で二番目に取引量の多い品物が何か、分かる人は?」
「コーヒーかい」と、ジョンは訊いた。
「大当たり」
いや、そんなことはちっとも知らなかった。念のためにネットを検索してみたら、どうやら事実のようだ。たとえばこちら。
Coffee is the second most valuable legally traded commodity on Earth (after oil) with global retail sales of coffee estimated to be $70 billion. Of this approximately $6 billion finds its way into the hands of the producing countries, and the rest goes to those who market it and sell it to us in various forms (and often for ridiculously high prices) in places like coffee bars.
700億ドルは105円で換算して、ええと7兆3500億円か。
このうち生産国の手に渡るのは60億ドル(6300億円)。9割以上が消費国の売り上げにつながる。典型的な南北貿易の商品だな。
日本は米、ブラジル、独に次ぐ世界第4位の消費国(2002年の輸入量は、約44万トン)だと、外務省のサイトに書いてありました。(ここ)
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コメント
コーヒーの取引が、世界第2位ということを否定する材料もないのですが、本当でしょうか。
ブラジルは今でも世界第1位のコーヒー産出国で、輸出国ですが、ブラジルの品目別輸出統計では、もう数%のシェアしか持っていないのです。
産出シェアではだいたい世界の25%くらいです。
投稿: Sao Paulo | 2005/01/11 06:39
Sao Paulo さん はじめまして。ブラジルにいらっしゃるんですね。
世界2位というのがどういう根拠であるか、じつはわたしもよくわかりません。そもそも商品取引の世界というのは、建玉だの残玉だの素人にはちんぷんかんの世界ですから(まあ、その方が怪我をしない)調べてもよくわからないですね。上の英文の引用で面白いと思ったのは、legally traded commodity の表現で、そうか非合法の取引商品もあるよなあ麻薬とか、と思ったことでした。
投稿: かわうそ亭 | 2005/01/11 09:05
昔、パラグアイは植え付けられているコーヒーの木から産出されるはずの量よりももっと多いコーヒー豆を輸出しているという話がありました。
つまりブラジルから非合法に豆がパラグアイに流れているという話です。
輸出に税金がかかっていましたから。
投稿: Sao Paulo | 2005/01/12 09:53
ああ、なるほどそういう非合法というのもあるんですね。ブラジルにかぎらず南米のことをもっと知りたいと思います。
投稿: かわうそ亭 | 2005/01/12 10:36