ハウルの動く城に失望
宮崎駿の「ハウルの動く城」は登場人物たちの関係がよくわからん映画だった。映画に意味なんか求めるなよ、と言われればそれまでだが、もっときちんと編集し構成を練るべきなんではないかなぁ。封切りのスケジュールに間に合わせるために中途半端なものを出してしまったのかと疑う。
今回の宮崎監督作品については「王様は裸だ」的批評が多いようだが、まあそれも当然かな。たとえば週刊文春の「2004年最低映画・文春きいちご賞」ではきちんと第4位になってますね。(笑)
この作品をほめる人に聞きたいのだが、たとえばハウルとカルシファーの契約上の「秘密」が何だったかわかってますか(わたしはまったくわからない)。もしわからなかったら気になりませんか。ハウルが当初戦っていた魔物たちを動かしていたのは荒れ地の魔女だったはずですが、当の魔女がサリマンによって無力化されたあとは誰があの魔物を動かしていたのですか(わたしにはまったくわからない)。もしそれもわからなかったら気になりませんか。
サリマンは簡単に戦争を終わらせることができる力をもっているのに、そうしなかったのはなぜですか。(これはいろんな解釈ができるが、映画の中では説明はないね)
手間ひまかけて、美しい映像をつくってみても、肝心のオハナシがぼろぼろに破綻している。反戦のメッセージを乗せるための作品に莫大な資本を投下し、それを回収する商業主義の論理を優先させたという印象。いたく失望。
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コメント
ストーリーは無茶苦茶でしたね。
一緒に見たカミさんはかなり怒ってました・笑
僕は途中からストーリーは置いといてハウルの城が動いたり止まったりする絵だけ楽しんでました。
ちなみにハウルの声がキムタクというだけでしびれてる女性が僕のまわりにはたくさんいました。
僕は言われるまで気が付きませんでしたがね。
投稿: たまき | 2005/02/02 23:18
ああ、わたしは奥様に全面的に同感です。
かなり怒って書いてますな、わたしも。(笑)
投稿: かわうそ亭 | 2005/02/03 00:24
こんばんは。
私も「ハウル」見ましたけど、ラストは「???」でした。どこで感動すればいいの…?っていうか話がさっぱりわかんない! 友人と見に行ってたので、終わったあとに話が出来てよかったです。じゃないとモンモンとしたままで終わってました(笑)かわうそ亭さんがあげている部分ももちろんわかりませんが、肝心の2人の恋の部分もさっぱりでしたよね。手順を踏まないラブストーリーなんて意味ないです。いきなり好きだとか言っても…。この部分だけでもなんとかして欲しかったです。でも、宮崎監督をかばうわけではないですが、この映画どうも製作段階から問題だらけだったらしいです。元々監督をする予定でなかったし、製作期間も異常に短かったとか。(一度伸びたのはそういう理由があったそうです)
投稿: ぎんこ | 2005/02/03 21:08
制作段階から問題だらけだったらしい、と聞くと、ああ、やっぱりと思いますね。宮崎作品にはいろんな企業が資金を出しているようですが、もしかしたらそんなことも影響していたのかなぁ。
投稿: かわうそ亭 | 2005/02/03 21:54
はじめてコメントを失礼させて頂きます。
この度は、私の「ブタネコのトラウマ」Blog版にコメントを頂戴し、大変 感謝申し上げております。 ありがとうございました。
今も こちらのブログを閲覧させて頂いている途中なのですが、この「ハウルの動く城」に関する御指摘は まったくもって同様の感想を抱いておりましたので、御挨拶と御礼を兼ね、こちらにコメントさせて頂きました。
今後も、どうか 宜しく御願い申し上げます。
投稿: ブタネコ | 2005/02/08 22:22
ブタネコさま こんばんわ。こちらこそよろしくお願いいたします。ブタネコさんのブログは、興味の重なる分野がかなりあり、しかも年期を感じさせる(?)達意の文章で魅力があります。ツインピークスやトリックはわたしもすっかりハマったクチです。(笑)
投稿: かわうそ亭 | 2005/02/08 23:09
かわうそ亭さんこんばんは。
漫画堂と申します。
ブタネコさんに勧められ、こちらに遊びに来ました。
『ハウルの動く城』はううむ、
ぼくは見てないのですが、
概ね不評のようですね。
ところで『千と千尋』はご覧になりました?
ぼくは見ましたが、
あれこそ真に「つまらない」と評価するに値する
作品だと思いましたがいかがでしょう?(;´_ゝ`)
ちなみにぼくの好きな宮崎作品は『コナン』です。
『泥まみれの虎』について記事を書いたのでよければ遊びに来てください(´∀`)ノ
投稿: 漫画堂 | 2005/04/29 23:57
はじめまして。漫画堂さんの漫画評、いくつか読ませていただきました。大友克洋の『童夢』、井上雄彦の『SLAM DUNK』、佐々木倫子の『動物のお医者さん』などはわたしも大好きな作品です。しかし、わたしにとって、なんとしてでももういちど手に入れたいと願っている漫画は内田善美の『星の時計のリドル』ですね。もう内田さんは描いてはいないのでしょうか。素晴らしい雰囲気をもった漫画家でしたが。
宮崎駿さんの『泥まみれの虎』は知りませんでした。機会があれば手にとってみたいと思います。『千と千尋』はとくに好きでもありませんが、『ハウル——』に比べればまだましではないかと。(笑)
投稿: かわうそ亭 | 2005/04/30 22:22
ハウルは失望に同感です !
千と千尋は、好きでしたよ ストーリーわかりやすかったし、なんかおにぎり食べながら泣きたくなりましたし。
投稿: にのちか | 2005/07/30 06:59
あれは「火の悪魔」なので、
結局は、悪魔のイメージすり替えです。
原作では、私が読んだ感じでは、ハウルはソフィーを見下してバカに仕切っていて、便利屋として使って振り回して時間を浪費させているだけの意地悪い存在みたいです。
カルシファーという火の悪魔と契約した悪魔ですね。
宮崎アニメは善良な愛の世界にまとめあげるのが特徴?
そういった所で、無理が在ったのかも。
二人の「契約」は「世界の約束」という曲で補足されているのかも知れませんね。でも、それも余り…。なので…。御参照まで(まずかったらこのコメントは消して下さいませ)。
「世界の約束」谷川俊太郎
涙の奥にゆらぐほほえみは
時の始めからの世界の約束
いまは一人でも二人の昨日から
今日は生まれきらめく
初めて会った日のように
思い出のうちにあなたはいない
そよかぜとなって頬に触れてくる
木漏れ日の午後の別れのあとも
決して終わらない世界の約束
いまは一人でも明日は限りない
あなたが教えてくれた夜にひそむやさしさ
思い出のうちにあなたはいない
せせらぎの歌にこの空の色に
花の香りにいつまでも生きて
(編曲部分:ホントはあれですが気に入らなくて^_^;)
↓
涙の奥にゆらぐほほえみは
時の始めからの世界の約束
いまは一人でも(出会った瞬間(とき)から)
(手をつないで生きてく 命の輪に流れに)
思い出のうちに(生きる人達も)
そよかぜとなって(命に触れてくる)
木漏れ日の午後の別れのあとも
決して終わらない世界の約束
いまは一人でも(未来は限りなく)
あなたが教えてくれた
夜にひそむやさしさ
(思い出のうちに生きる面影も)
せせらぎの歌に(空と海の色に 土の香りに)
いつまでも生きてく
投稿: Nao | 2012/02/10 00:26