« 朝鮮の核 | トップページ | 虎よ、虎よ »

2005/05/13

東京ファイティングキッズ

『東京ファイティングキッズ』内田樹・平川克美(柏書房/2004)は読むと元気の出る刺激的な本だ。
まあ、元気が出ると言っても、このお二人(小学校の同級生時代からの付き合いなんだそうな)1950年生まれだから、今年で55歳のジジイである。いくらなんでも「キッズ」はないんじゃないかと思うけどなあ。(笑)
二人の往復書簡のかたちで、思いつくままに対話がなされているような面白さがあるな。語られている内容は、ビジネスモデル、武道と身体論、アメリカ、大学、イラク戦争など多岐にわたるが、わたしの見るところでは、通奏するのは「知性とは何か」ということだろう。乱暴に要約すると知性とは「知ったかぶりしないこと」ということにつきるような気がするが、まあ、さすがにこれでは要約がすぎるかもしれない。面白い本なので一読をお勧めする。インターネットでも本書のテキストが公開されている。(ここ)ただし、内田樹さんの「はじめに」という文章が読み応えがあって面白いので本になったものを読む方がいいと思う。
わたしはあんまり内田樹さんのことは知らないのだが(ブログの「内田樹の研究室」はときどき覗いているけれど)離婚歴があったなんてのは初めて知ったことでした。まあ、どうでもいいことだけどさ。
わたしが、はたと膝を打った(というか爆笑した)のは、マザーシップに関連してアメリカのゲイが取り上げられている箇所でした。そこのところを紹介する前に、まず内田さんの「マザーシップ」という言葉の意味合いを説明しておかなくてはいけない。「mother ship」というのは正確には英語では「母船」という意味しかない。(ということを内田さん自身も書いている)しかし、ここでは、いわゆる母性(mother hood)が生物学的なそれや親族名称として、すなわち最初から在るものとして扱われるニュアンスなのに対し、たとえばクラフトマンシップみたいな感じで「経験的に習得された後天的資質」という意味合いを持たせている。つまりマザーシップとは、ハーバー・ライトでありセンチネル(見張り番)であるという社会的機能を引き受ける人である、ト。
さて、そこでアメリカのゲイである。内田先生いわく——

ではアメリカ社会で「マザーシップ」の社会的機能を担っているのは誰でしょう?
ぼくの見るところ、どうやらアメリカでは二種類の人間たちがそれを担っているように思われます。「ゲイ」と「じいや」です。
ゲイが「マザーシップ」の担保者であるということはすぐに分かると思います。
アメリカでは「美術関係」と「現代詩関係」者はまず例外なく「ゲイ」だということになっているそうですが、これはむしろアメリカ社会が「マザーシップ」を人格のコアとするようなタイプの男性を組織的に「非男性」にカテゴライズしていることの結果であろうとぼくは思っています。
高校時代にフェルメールの絵を見たり、ランボーの詩を読んだりする男の子は、クラスの「フットボール少年」あたりに「ゲイだろ、お前」と決めつけられて、「そ、そうなのかなあ・・・」と心理的に強いられ、そんな風に組織的にゲイ・ピープルが育成されているということはないでしょうか。
わはは、わかる、わかるこれ。ジャック・ニコルソンとヘレン・ハントが主演した「恋愛小説家」という映画、お気に入りの一つなんだが、このなかにゲイの画家(グレッグ・キニア)がいい感じで出てきますね。あれなんかが、この社会的に育成されたゲイの典型なんだろうな。
もうひとつの非男性化されるタイプの「じいや」は、ひとつだけ例をあげるとパーフェクトに理解できる。『赤毛のアン』のマシューがその典型であります。

|

« 朝鮮の核 | トップページ | 虎よ、虎よ »

b)書評」カテゴリの記事

コメント

「内田樹の研究室」に伺い,真っ先に目に入ったのが「14歳の子を持つ親たちへ」の共著者である名越康文氏の名前。TV番組で毎回その語り口もさることながら、表情がなんとも魅力的で、気になっていましたので、早速この新書購入することにしました。

投稿: ミラー | 2005/05/20 21:43

こんばんわ。名越康文さんってどういう方か、ぜんぜん知りませんでしたので、ぐぐってみたら(最近はこればっかりですね)「グータン〜自分探しバラエティ」なんかに出ておられるんですね。あの番組、断片的に見た覚えがあるんですが、名越さんには覚えがないなあ。今度、みてみようっと。

投稿: かわうそ亭 | 2005/05/20 22:18

娘と一緒に楽しめた番組でした。今は名越康文さんはもうご出演されてないんですよ。
名越さんあっての番組でした。

投稿: ミラー | 2005/05/20 23:05

あ、そうなんですか。それは残念。でも、うっすらとですが、NHK BSで「少女マンガの黄金時代〜ポーの一族〜」で、この方を見たような気もするんですよね。しかし、記憶は「いまつくられる」からなあ。

投稿: かわうそ亭 | 2005/05/20 23:21

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23898/4114916

この記事へのトラックバック一覧です: 東京ファイティングキッズ:

« 朝鮮の核 | トップページ | 虎よ、虎よ »