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2005/06/01

小泉総理に申し上げます

父より手紙。新聞に投稿したという原稿用紙が入っている。
紙面に載れば本人の希望がかなうが、おそらく膨大な投稿のなかから選ばれる可能性は低いと思うので、息子のつとめとして誠にささやかではあるが、わたしのブログに掲載する。
父は1943年2月1日に応召、中支派遣「槍」部隊の一員として下関を出港、釜山上陸。京城、平壌、新義州、審陽と北上し華北に赴いた。ガダルカナル「転進」の翌年のことである。新聞の「転進」という表現を奇異には感じたが本人によれば「負けたとは思わず新たなる作戦と思っていた」ということだ。以下、息子であるわたしはなんの言葉も加えるつもりはない。ただお読みくださったみなさんに父に代わって深く感謝申し上げる。

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小泉総理に申し上げます。

靖国神社参拝は信念ならやむを得ません。しかし国の安泰と将来を願う国民のことを考えてそっと参拝していただきたい。家の子郎党引き連れて、これ見よがしのポーズとしか見えない参拝はやめてください。
四年に及ぶ戦地での体験を以て、戦争の実態をあまりにも理解されてない。語るもおぞましいことがあまりにも澤山あるのです。
眞実を話せば“名誉の戦死”を遂げたとされる遺族の悲しみも増すばかりとなる、そっとしてあげることこそ死者に対するせめてもの慰めとでも申せましょう。
全く個人的な欲望が制御されず非業の死を遂げた戦友が数多くいた。
遺族は門柱に栄誉を称える標章をつけ靖国神社に詣でている。死者を鞭打つようなことは口が裂けても話せないし、子や孫にも語ることすら躊躇するのは事実です。
小泉さんどうか言動に気を遣い再びあのような戦争の惨禍から国民を護ってください。
どんなにもっともらしい理屈を並べても相手国の国民の気持ちを考えなければ意味をなしません。
国連常任理事国入りなど後回しで結構です。入らなくても名誉ある地位は自ずとわかってくるものです。

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コメント

靖国神社参拝について、こんなに平易なことばで分かりやすく小泉さんに異見を唱えてくださった。
戦争を体験なさった方の深い悲しみに、胸がつまります。
宗教や合祀の問題が政治的な場で繰り返されることに、空しさを感じます。なぜ国民が皆、何のわだかまりもなく訪れ、戦争を繰り返さないぞ、と静かに決心できる場が造れないのでしょうか。
かわうそ亭さんのお父様に、感謝の拍手をおおくりします。

投稿: Wako | 2005/06/01 19:14

Wakoさま お久しぶりです。どうもありがとうございました。

投稿: かわうそ亭 | 2005/06/01 21:48

お父様の体験は、私の父のそれと重なるようですね。
父は朝鮮半島を転々としたそうですが、その頃のことを語りません。ただ、帰国後大学に復学した後の数年、写経に没頭していたと聞くだけです。
読ませていただいて、語れないことの重さに改めて思い至りました。

投稿: なぎ | 2005/06/02 00:59

なぎさん、なんだかしんみりしますね。
どうもありがとうございました。

投稿: かわうそ亭 | 2005/06/02 22:36

父君の「今、物言わねば」の思い、かわうそ亭さんの心遣いで、多くのこころある人に読んでいただけることとと思います。

決して立派ならざる生を生きてきた我が父の思いも、もう少し正面から聞いてやるべきなのでしょうね。

投稿: かぐら川 | 2005/06/03 02:25

かぐら川さん どうもです。さるさる日記の方でもご紹介くださいましてありがとうございました。

投稿: かわうそ亭 | 2005/06/03 21:32

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