本屋がいちばん売りたい本
『本の雑誌』増刊号「本屋大賞2005」をぱらぱらと眺めて、おやおや、と思った。
「本屋大賞」は全国の書店員が「いちばん!売りたい本」を選ぶ賞として、二〇〇四年の四月に誕生した。書店員が「読んでよかった」「もっと売りたい」と思った本を選んで投票し、その集計結果のみで大賞が決定する仕組みで、新刊書店に勤務する書店員(含むアルバイト、パート書店員)なら誰でも投票資格を有する、かつてない開かれた賞である。
昨年の第1回目の受賞が小川洋子さんの『博士の愛した数式』(新潮社)で、受賞後に30万部を超えるベストセラーになったというから、はじまったばかりの賞にしては影響力は大きい。なにより、書店の皆さんが自分たちがオススメの本だという意識があるので、売り場を工夫して平積みにしたり、店頭の手書きのPOPで販売促進をしたりするのだろうか。
第一次投票ベスト30という表から10位まで、書名と著者名を転記してみる。
1 夜のピクニック(恩田陸)
2 家守奇譚(梨木香歩)
3 袋小路の男(絲山秋子)
4 チルドレン(伊坂幸太郎)
5 明日の記憶(荻原浩)
6 私が語りはじめた彼は(三浦しおん)
7 犯人に告ぐ(雫井脩介)
8 黄金旋風(飯島和一)
9 対岸の彼女(角田光代)
10 そのときは彼によろしく(市川拓司)
じつは恥ずかしながらベストテンの中に読んでいた本が一冊もなかったのである。それどころか、ベスト30の中で、わたしが読んでいたのは、たった一冊、26位の『アフターダーク』(村上春樹)だけだったのだ。いやそれを言えば、そもそもこのベスト30のラインナップのなかで名前を知っている作家はわずかに6人だけである。具体的にあげれば恩田陸(しかしわたしはこの人はいままで男と思っていた。インタビューの写真を見る限りでは女性ですよね?)、角田光代、舞城王太郎、原りょう、矢作俊彦、村上春樹の6人。さらにこのうち読んだことがあるのは原さんと村上さんだけ。(笑)あとの24人は、申し訳ないが、あんた誰、てなもんである。(もちろんわたしにとっては、という意味)
結局、わたしは新刊書をほとんど読まないヒトであった。読む本はほとんどが図書館の本なので、こういうことになるんだろうなあ。といっても、いまさら態度を改めようとはまったく思わないけどさ。
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コメント
私も最近はよほどでないと新刊は読まなくなりました。別に読まなくても困らないし、と言うより、古い本の良さを知ると、ほんとに古い本のほうが面白く感じるんですよね。この魅力ばかりはどうにも筆舌に尽くしがたいものが(笑)。
でも、かわうそ亭さんのエントリーに出ている作家では荻原浩の小説は好き。特に『母恋旅烏』は逸品。それと舞城王太郎も『阿修羅ガール』は大変魅力的でした。最初の3ページで読者を強烈に惹きつける。かなりクセが強い文体なので他のかたはどう感じられるかわからないですが。村上春樹は面白かったですか?私
はこの人がどうも苦手なんだ~。翻訳だけなら好きなんけどね。
投稿: hebakudan | 2005/08/05 00:48
村上春樹さんへの好意的な評価としては内田樹さんのブログ、2004年09月17日「After dark till dawn」この文章がもっとも先鋭的なものだと思います。すでに hebakudanさんもお読みかとは思いますが、リンクを貼っておきますね。ま、ちとほめ過ぎでは、とお思いでしょうが(笑)。
http://blog.tatsuru.com/archives/000407.php
投稿: かわうそ亭 | 2005/08/05 23:30