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2005/09/16

お笑い中国共産党

以下は『中国激流 13億のゆくえ』興梠一郎(岩波新書/2005)を読んだわたしのただの空想である。むろん、ほんとうにあの中国サマがこんな国であるわけがないと、わたし自身は強く確信している。たぶんしてると思う。してるんじゃないかな。ま、ちと覚悟はしておけ、ト。

むかしむかしではない、いまの中国にある村落があるらしい。ある日、地方の役人がやってきて、党の方針でここに工業団地をつくることになったから、おまえらここから出て行けと言いました。
「いいですか我が国は社会主義社会です。社会主義社会では地主や資本家の私有財産であった土地は人民のものです。たしかに農村の土地は農民の集団所有ですが、しかし憲法の定めで開発に際しては国有に名義変更されます。わたしたちは必要に応じて土地の収容ができるようになっているのです。もちろん、みなさんにはきちんと国が補償をいたしますよ。ははは」
学校やら中央からイナゴのようにやってくるお役人の給料は地方の負担だから地方の税金は苛酷だ。とても零細な農業だけでは税金が払えず、働き盛りの男は都会に出稼ぎに行っている。残された年寄りや女子供が泣いてお慈悲を乞うが、もちろん聞いてはもらえない。中国は三権分立ではない。検察も裁判所も全部、統治を行う地方の党書記長の下に置かれている。だから、おおそれながらと訴え出ても無駄である。農民はひそかに、北京に代表を送って、中央政府に窮状を訴え出ようとする。密告者をはりめぐらしている地方公安当局はその代表を途中でつかまえて連れ戻しみせしめに拷問で殺してしまう。
ところが国からおりたはずの立退き料は、共産党の幹部とその親戚縁者が全部横領している。しかも工業団地ができるはずが実際に出来るのはモダンな高層マンション街である。農民は工業団地で雇用が生まれると聞いていたのだが、そんなことは共産党の偉いさんはすっかり忘れたふり。もちろん高級マンションなんか農村の人間は買えない。近隣の都市部の成金向けの住宅なのでありますね。それにしても高くないかこのマンション。
「よろしいですか。我が国は市場経済社会です。当然、この住宅には使用権が付いているわけですからその分は、ちゃんと払ってくださいね。市場経済ってそういうものですよ。ははは」
ただ同然で収容した土地を党幹部の縁者やら愛人がやっている不動産会社に売って地方政府は役人の給料の原資にする。不動産会社は買い値には入ってなかった使用権を堂々と上乗せした価格でマンションを販売して、暴利を貪る。役人には賄賂やらリベートが公然と渡る。こうして蓄財に励んだ役人は、資産を海外に移していく。
村を追われた人たちは仕方がないので、都市に出稼ぎに出ている父ちゃんのもとに身を寄せる。しかし、中国では農村戸籍と都市戸籍がはっきりわけられている。暫定居住証があれば労働はできるが、教育や医療補償や社会保険の適用は受けられない。もぐりのお目こぼし住民だからね。それでもかれらには帰るべき故郷の村はもうないのであります。
めでたくもなし、めでたくもなし。

ソ連共産党が絶対権力を誇っていた頃のジョーク。
母親を黒海の別荘につれていったフルシチョフが、豪華絢爛たる家具と美術品、眩い宝石、極上の料理、何台もの高級車、美しい猟犬をつぎつぎに見せたが、母親はこわばった顔のまま。
「お母さん、お母さん、どうして喜んでくれないんです。このわたしたちの暮し、素晴らしいとは思わないんですか」
「そりゃあ、素晴らしいとは思うさ、ニキータ」と母親。それから、ひそひそ声で、
「でも、どうするんだい、おまえ。もしまたあの共産主義者たちが戻ってきたら」

いまの中国の政権が進めている改革開放政策には、ふたつの正反対の批判論調があると本書はいう。
ひとつは自由主義派で、いまの不公正と人民の格差は市場経済のせいではなく、共産党一党独裁の政治体制が悪いのだと考える。縁故資本主義、官僚資本主義だから駄目なのであって、普通選挙を行い、憲法、議会、司法制度を西側と同じように民主化すれば中国は豊かで公正な社会を実現できると主張する。
もうひとつは新左派と呼ばれるグループである。かれらは、いや市場経済そのものが、貧富の差を拡大再生産していくプロセスだから、中国はむしろ毛沢東の文化大革命の時代に帰るべきだと主張する。あの時代は、貧しかったけれどこんな不公正な社会ではなかったというノスタルジアであります。
どっちが正解かは考えるまでもないが、まあ、よそさまの国のことだ。自分たちで決めればいいのだろう。まともに民主化したら国内がばらばらになって収拾がとれなくなって混乱するかもしれぬ。左派の復活を許せば、また文革時代のような狂気が再現するかもしれぬ。時間をかせぎながら指導者は民主化にソフトランディングするという方針なのか。それとも、独裁体制を守り抜いて行けると思っているのか。
いずれにしても、わたしはいまの中国には好意をもたない。

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コメント

TB、ありがとうございます。

中国モノに限らず、いろいろと読まれているようですね。あたしなど、読書に非常に偏りがあって恥ずかしいものです……(*^_^*)。

投稿: Rockfield | 2005/09/19 15:59

いや、こちらこそ、我ながら散漫な本の読み方でお恥ずかしい限りです。
ときに皮肉な言い方をしてしまいますが、言うまでもなくわたしも中国には強い憧れを抱いている一人です。
これからもどうぞよろしくお願い致します。

投稿: かわうそ亭 | 2005/09/19 18:55

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