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2005/12/07

俳壇を背負って立つ人々

haiken0512「俳句研究12月号」の特集は恒例の年末の俳人アンケート。
お気に入りの俳人の今年の自選句や「ひと言」などをぱらぱらと拾い読みする。全部で二百十数名がアンケートに答えておられるのだが、その中に「注目する俳人2名」という項目がある。「注目する」という意味はなんだろう。なかには森澄雄とか金子兜太なんて名前を挙げている人もいるが、まあ、ごく素直に考えれば「中堅の俳人で今後の俳壇を背負って立ってもらいたい人」というようなニュアンスではないかと愚考する。もちろんこれはわたしの勝手な解釈で、そんなつもりで選んではいませんよ、と言われるかもしれないけれど。

二百人以上が答えている(もちろんこの項目は無回答というひともいらっしゃるが)ので、かなりの名前が挙がっており、わたしの存じ上げない俳人も多い。
ぼんやり眺めているうちに、句会ではないが、どなたが一番多く選ばれているのだろうと知りたくなった。どこかに書いてないかとざっと調べたが、わからないので休日の暇にまかせて自分で数えてみた。

さて俳壇には結社というものがあり、これは相撲部屋ではないが、こういうアンケートで人選をする場合には微妙に影響をするだろう。同じ結社からはあえて選ぶのを遠慮するという場合もあるだろうし、なんとしてでも同じ結社の俳人をこういう機会に知ってもらたい、と考える人もいるかも知れない。
しかし、まあ、二百人以上の人が選んだ結果は、それなりに俳壇の「世論」を反映しているような気もする。

結果はこんな感じだ。

1位  小川軽舟 (29票)
2位  櫂未知子 (18票)
3位  石田郷子 (17票)
4位  長谷川櫂 (16票)
5位  片山由美子(14票)
6位  宇多喜代子、小澤實、高柳克弘(13票)
9位  茨木和生、今瀬剛一、小澤克己、鍵和田ゆう子、鷹羽狩行(8票)
14位 池田澄子(7票)
15位 高山れおな(6票)
16位 今井聖、大木あまり、筑紫磐井、廣瀬直人、正木ゆう子、八田木枯(5票)

4票以下は省略
なんとなく世代交代が見えて面白い——ような気もする。
ただし、この順位にこだわるのは愚かだろうし、この人々だけが俳壇を背負って立つという意味でもないだろう。まあ、軽いお遊びということで。
ちなみに1位、2位の小川軽舟さんと櫂未知子さんはそれぞれ1961年、60年生まれである。

一言コメントの中では、佐々木六戈さんの以下の発言に共感。

井の中の俳句はそれ自体の水位を上昇させる以外に他の文芸と交差する方法を持たない。ときに井水を溢れせしめ、俳句らしからぬ俳句の出現を待望してやまない。

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コメント

追記ということで。
藤原龍一郎さんの「電脳日記・夢みる頃を過ぎても」12月7日の件に、「俳句研究年鑑」を拾い読みと記して、あわせてこんな苦言を呈しておられる。
http://www.sweetswan.com/19XX/
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一つ気になったのは、岸本尚毅が作品展望の欄で、高柳克弘の作品への批評文に「小川軽舟「鷹」主宰と高柳編集長のコンビは健気なる「幼君幼家老」の風情」と私には揶揄と思えるフレーズを書いていること。藤田湘子逝去後に若い小川軽舟が新主宰にそして、さらに若い高柳克彦が編集長になったことを、このように書いているわけだが、作品批評の原稿の中で書くことではないように思う。(引用終わり)
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わたしは、俳壇のことなどなにも知らないが、これはいくらなんでもないんじゃないかな。岸本さんも筆が滑ったという印象なり。

投稿: かわうそ亭 | 2005/12/09 23:25

こんばんは。小川軽舟の『手帖』という句集にこんな句がありましたよ。

岸本尚毅氏曰く、小川軽舟「鷹」主宰、高柳克弘編集長のコンビは健気なる「幼君幼家老」の風情

幼しや水をさむがるかげぼふし

投稿: mimo | 2011/10/21 21:43

こんばんわ。
へえ、面白いですね。前書きがついている以上、失礼な幼君幼家老発言への回答ということになりますが、句の意味はちと取りにくいなあ。
あえて推理すれば、史記の刺客列伝、秦王に匕首のんで川を渡った荊軻に身をなぞらえていると解釈しましたがどうでしょうね。

 風蕭蕭として易水寒し。壮士ひとたび去ってまた還らず。

あたしゃ、岸本なんかもう相手にしないのよ、ト。(笑)

投稿: かわうそ亭 | 2011/10/21 23:13

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