盗聴と監視
今日の話は一昨日の続き。
『チャター』の訳者である冷泉彰彦さんは、メールマガジン「JMM」の寄稿者の一人ですが、そのメールマガジン『from 911/USAレポート』の第230回は、昨年末に上院でもめていた「愛国法」の話題であります。そして、このレポートはまさに『チャター』で追求された諜報組織による大規模な盗聴や電子的監視の今日的な実態を伝えている。能天気なわたしなどは、そうかアメリカはいま戦時なんだなあと、いまさらながら驚いたりするのでありますが、面白い報告なので、ぜひ実際にお読みいただきたい。愛国者のゲーム【ここ】
さて、この愛国法の関連で問題なのは、いうまでもなく自国民の監視を、権力は法的な手続きをパスしてやってもいいかどうかということですね。
まあ、正面きって聞かれれば、令状なしにはそんなのダメだよモチロン、とわたしは答えるけれど、しかし、どうせ公安は令状なんかなくても毎日やっているに決まっているし、(白状してしまえば)それを声高に非難しようともあんまり思わない。
もちろん権力による市民の盗聴や監視はすべて悪である、というのも、ひとつの立場ではある。しかし、率直に言って、たとえ破防法で指定された団体ではなくとも、あやしいカルトの動向は正確につかんでおいて欲しい。無辜の少女を拉致した工作員の外道どもを公然と支援してきたみなさんが、基本的人権を持ち出して自分たちのプライヴァシーの神聖不可侵を申し立てられても困ってしまう。子供を嗜虐的な性的な対象にしたり殺人願望を膨らませているような変質者はちゃんとブラックリストにしておけよと思う。
だからこの問題のポイントは、たぶん基本的人権と安全のどこに線を引くかということなんですね。そして、上に述べた例で、なかなか反論が難しい(だろうとわたしは思うのだが)ように、往々にして話はなし崩しに安全の側に傾いてしまうのであります。
——というところで、眠くなったので、今日はここまで。
「はてなのブクマ」につながっていないので、まだつづく。
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コメント
「この話は基本的人権と安全の線引き」で、「往々にしてなし崩しに安全の側に傾く」。仰言るとおりだと思います。個人と国家をめぐって同様な悩ましい問題は他にもあります。
だからこそ、その運用を委任する政府の責任者の人選には最高の注意が必要で、有能であるだけでなく見識、哲学に問題がないか、慎重にチェックしなければならない。
アメリカ市民はそれをブッシュに任せられるのか?盗聴法の運用を小泉純一郎に託して大丈夫か?
優等生的なコメントで恐縮ですが、話はそこに及ばざるを得ないと思います。
投稿: 我善坊 | 2006/01/30 11:08
我善坊さん コメントありがとうございます。わたしもそう思います。ちょっと帰宅が遅くなったので、続きの文章が書けないのですが、我善坊さんのご指摘のことと、また少し思うことがありますので、明日にでも。
投稿: かわうそ亭 | 2006/01/31 00:26