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2006/04/01

嘆きのリトル・マーメイド

今月のはじめ、何者かがコペンハーゲンの人魚姫の像に緑色のペンキをぶっかけて、ディルドーを飾り立てるという悪行をなしたことは日本でも報じられておりました。
当日が国際女性デー(3月8日)であったことと、ディルドー(性具のペニス)をこれ見よがしに飾っていたことから、過激なフェミニスト達の示威行動ではなかろうかとか、いやなにしろデンマークだから例の漫画の意趣返しではとか、いろいろ憶測を呼んでおりましたね。

今日のBBCのサイトでは、管理当局が、人魚姫の位置を数メートル沖に移すことを検討していると書かれています。

Denmark may move Little Mermaid

人の手が届かなければ、悪さもできないだろうというわけですが、もともとあんまり大きな作品でもないので、位置が遠くなると、ますます観光客の失望を買うということで、痛し痒しのようであります。

野外のモニュメントに対する破壊行為ということでは、このリトル・マーメイドは可哀想に執拗に狙われているのだそうで、二回ほど首を斬られ、片腕を切断され、ペンキを塗られたのは少なくとも七回はあるのだとか。イスラムの女性のする黒いブルカをかぶせられたり、おっぱいにブラジャーされたりなんてのもあるらしい。首を斬られてもちゃんと復元されているのは、原型の彫刻が保管されているからだと思われます。

この人魚姫はビール会社カールスバークの二代目が制作を依頼して寄付したものらしい。1910年頃に王立劇場で上演していたバレエの「人魚姫」のプリマドンナをモデルにして、エドワード・エリクセン(Edvard Eriksen:1876-1959)という彫刻家がつくったものだとか。プリマドンナの名前はエレン・プライス(Ellen Price:1878-1968)といいまして、当時の人気絶頂のバレリーナであった。
もっとも、このモデル説には、いささか無粋な解説もありまして、頭部はたしかにエレン・プライスなんだそうですが、彼女はヌードでポーズをとるのを拒んだので、躰の方は作者のエリクセンの妻かもしれないんだそうな。いいじゃないの、妻のだって。(笑)
(詳しくはここを参照してください)

ところで、これは「Wikipedia」に載っていることなので、たぶん裏付けはあるのだと思うが、このリトル・マーメイド像のモデルとされるエレン・プライスは、岡田真澄の叔母さんなんだって、へえ。

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コメント

かわうそ亭さま
もとよしです。 本と屁爆弾さま経由でやって参りました。

人心穏やかな印象のあるデンマークですけれど、人魚姫像は数々の受難に遭っているそうですね。 時節柄、どうしても漫画と関連付けてみたくなります。

この像、なんでも世界三大がっかりの一つに数えられるのだそうで。 今より沖あいに持っていったら、観光客のがっかり度が増すだけ、などと余計な心配をしてしまいます。

投稿: もとよし | 2006/04/02 16:00

もとよしさん こんにちわ。
ときどき、屁爆弾さんのところでコメントを読ませていただいております。「問わず語り」は、おなじ、ココログですね。

デンマークというと、メールマガジン「JMM」で高田ケラー有子さんとおっしゃる造形作家のレポートを毎週楽しく拝見しています。(人魚姫の第一報もこの方のレポートからでした)
おしゃれな家具や寛容な社会ということでわたしにとっても好感度の高い国ですが、実際に住んでいる方の文章を読むと豊かな(金銭的にという狭い意味では日本の方が豊かなんでしょうけれど)社会だなあ、とうらやましくなることも多いですね。

今後ともどうぞよろしく。

投稿: かわうそ亭 | 2006/04/02 21:04

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