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2006/04/05

淡淡幽情

「本に溺れたい」のrenqingさんに教えていただいた、鄧麗君の「淡淡幽情」をiPodに入れて通勤などでときどき聴いている。美しい歌声である。そのうちに、ライナー・ノーツに記されている詞を目で追いながら聴きたいと念じながら、なかなか時間がとれなかった。今日、ようやく、ひとつひとつ言葉を確かめながら聴くことができた。もちろん、わたしの中国語はごくごく初級レベル(にも達していないけど)だから、あるいは間違っているかもしれないが、ここで鄧麗君は意図的に、普通話(標準語)を用いるという方針をとっているようだ。中国では地域によって、同じ文字でも発音はまったく異なる。音だけではほとんどコミュニケーションができないために、この普通話を使うことは、国家の統一ということから非常に重要なこととされる。鄧麗君も広東語でも福建語でもなく、普通話で宋詞を歌った。つまり、すべての中国人に向けて、わたしは歌うということなのだろう。歌手テレサ・テンが台湾や香港で、どの発音をつかっていたのかは、わたしはまったく知らない。だが、この普通話の音は彼女の普段使うものではないのではないかという気がしている。

さてこのCD「淡淡幽情」、詞もこまやかな抒情や涙に満ちたものだが、独特の漢語の音と相まって嫋々たる気分がせつせつと伝わってくる。素晴らしい作品である。

日本人であっても、歌詞カードがあれば、歌を聴きながら、一語一語、詞をたどることはたぶんそれほど難しくないと思う。とりあえず、漢語の初級クラスの人なら、何回か聴けば唱和できそうだ。蘇軾の「但願人長久」を転載する。

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但願人長久  蘇軾

明月幾時有
把酒問晴天
不知天上宮闕
今夕是何年

我欲乗風帰去
唯恐瓊樓玉宇
高處不勝寒
起舞弄清影
何似在人間
轉朱閣
低綺戸
照無眠
不應有恨
何事長向別時圓

人有悲歓離合
月有陰晴圓缺
此事古難全

但願人長久
千里共嬋娟

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コメント

追記

こちらのサイトによれば、テレサ・テンは台湾雲林県龍岩村(台湾中部)に生まれたとのことだが、外省人(大陸出身)の軍人家庭の家に育ったというから、台湾の方言ではなく普通話に近い北京の言葉で育ったようですね。

http://www.beats21.com/pg/A05122202-1.html

投稿: かわうそ亭 | 2006/04/05 22:16

かわうそ亭さん、関連記事ありがとうございます。

>中国では地域によって、同じ文字でも発音はまったく異なる。

 紹興酒で有名な浙江省紹興出身の魯迅は、華中以北で講演するとき、‘中国人の普通話通訳’がついたようです。また、皇帝の広大な中国の統治手段として永らく重要な道具だったのが、古典文としての漢文だったのも、それが表意文字と言う音に左右されないものだったからでした。

投稿: renqing | 2006/04/06 06:18

かわうそていさん、こんにちは。
移行しました。

新しいURLです。
http://yaplog.jp/ef_ef/

投稿: rei | 2006/04/06 12:02

renqingさん こんばんわ。
「表意文字は音に左右されないものだった」ということは、とても大事ですね。中国の方は、名前を日本語読みにしても、あんまり怒ったりなさらないようですが、まあ、同じ大陸でも地方によって音が違うのは仕方がない、要は文字を読めばいいんだということなのかもしれません。

投稿: かわうそ亭 | 2006/04/06 20:18

reiさん こんばんわ。新しいブログ拝見しました。前の分も移行されたんですね。島田さんの「現代短歌について」は、面白い記事ですね。「短歌ヴァーサス」の風媒社が名古屋の極左出版社とは知らなかった。
ええと「4」の終わりのほう、飯田有子の東京女子大卒のあと、共立女子大「代」学院になってます。

投稿: かわうそ亭 | 2006/04/06 20:24

かわうそ亭さん、
読んでくれてありがとう。
だい、なおしました。
自分ではなかなか気がつかないもんですね。

投稿: rei | 2006/04/07 00:44

>中国の方は、名前を日本語読みにしても、あんまり怒ったりなさらないようですが、まあ、同じ大陸でも地方によって音が違うのは仕方がない、要は文字を読めばいいんだということなのかもしれません。

なるほど、それで了解。日本人が中国人名を日本語音読みしても、気にしない(ように見える)のは、中国文字(漢字)を異なる音で読む、ローカル文化とみなしているからかもしれません。強烈な誇り高さ。感服。

投稿: renqing | 2006/04/07 02:51

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