文革の幽霊
昨日のウェブ版のニューヨークタイムズに聶元梓の写真が掲載されていた。いま85歳、北京でペルシャ猫二匹とともに余生を送っているらしい。
タイトルは「Hearts Still Scarred 40 Years After China's Upheaval 」。
(もしかすると読むためにはサイン・インが必要かもしれないが、一応リンクを貼っておきます)
1966年北京大学の哲学系の助教(当時45歳)であった聶元梓(じょう・げんし/Nie Yuanzi)は、文化大革命の実質的な狼煙となった「大字報」の作者である。
ほとんどすべての国民を精神的な拷問にかけ、何百万という人間を殺し、または自殺に追い込んだ文化大革命。まさかこれほどの災厄を、自分が祖国にもたらすことになろうとはそのときは想像だにしていなかった、とこの女は語る。北京大学での反対派との武装闘争を組織し、1967年には北京市革命委員会の成立とともに副主任に就任、しかし、その後失脚し、下放、隔離審査を受け、毛沢東死後の文革終焉後の1978年に逮捕される。
インタビューでは、ずいぶんきれいごとやら泣き言を言っているようだが、あまり同情する気にはなれない。
それにしても、文化大革命40周年を、中国政府は、あたかもそんなことはなにも起こらなかったかのようにやり過ごすつもりらしい。なんともはや。
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コメント
昨年読み、採りあげた記事では以下のような見解が中国若手の知識人のもののようです。
「文革を行き過ぎた現代」としてその後の「対極化の中で乗り越えた」。
文革的なものは時の流れの中でイデオロギーに関係なく世界中で繰り返されていて、ただどういった形で表れるかは社会制度によるのでしょう。むしろ関心を持っているのは、そうした文革世代が現代の中国を指導している様に、各々の教育が与える影響の大きさです。
投稿: pfaelzerwein | 2006/06/13 18:22
こんんばんわ。pfaelzerweinさんのお書きになったのは
http://blog.goo.ne.jp/pfaelzerwein/e/d36f707333facc2b07cf380e5267e48c
でしょうか。
たまたま(ではないとにらんでいますが)BBCやニューヨークタイムズの記事には、口ではきれいごとを言いながら、現在進行形でえげつないことをやって知らんぷりを決め込んでいる中国政府への皮肉がここ数日目につきます。ひとつは見境のない武器輸出であり、もうひとつは石炭による火力発電所の建設ラッシュで深刻な環境悪化を世界にもたらしている問題。
中国人という民族の方にウェイトを置くべきなのか、共産党政権という独裁政治にウェイトを置くべきなのか、わたしにはよくわかりませんが、カタストロフィーに向かいつつあるような気がしないでもありません。今日も、大阪はひどい黄砂でしたが、実質的にはこれは、すでにむかしの「黄砂」ではなく、中国の汚染物質にコーティングされた塵なのだと知る人は知っています。
投稿: かわうそ亭 | 2006/06/13 19:25