これはオススメ「間宮兄弟」
「ぼくの知っている限り、女性はいつも選択に忙しい」とバートは言葉を続けた。
「男が五人いる部屋に入って来たとするね。女性の心はすぐ事務機械のように働いて、その五人に順位をつける。第一志望、第二志望、まあまあ我慢できる、ひょっとしたら、絶対いや」
(アーウィン・ショウ『その時ぼくらは三人だった』)
「間宮兄弟」を梅田ガーデンシネマで見る。たのしい映画だった。
兄の明信はビール会社の研究員、弟の徹信は小学校の用務員。二人暮らしのマンションは、壁じゅうの本棚に整然と並んだ本やおもちゃや熱帯魚などに囲まれてなんとも快適そうである。二人とももう30を過ぎているのにどうやらこれまでちゃんとした恋愛体験がないらしい。
兄(佐々木蔵之介)の方は、まあ現実なら「第一志望」か「第二志望」の順位が妥当なのだろうが、あくまで映画のなかでは「ひょっとしたら」というポジショニングだし、弟(ドランクドラゴンの塚地武雅が好演)の方は「絶対いや」——というというよりも、そもそも女性の目から見ると「対象外」という感じになるのだろう。もっとも本人にもそれはちゃんとわかっているらしい。ときどき、傷ついたツカジは新幹線の車両基地で新幹線を眺めながら泣くのである。そんな弟を兄はおどけながらなぐさめる。(ここのシークエンスは好きだなあ)
さてこの兄弟が、自宅でカレーライス・パーティを開くという口実であこがれのレンタル・ビデオ屋のアルバイト店員、直子(沢尻エリカ)と、弟の小学校の教師、葛原依子(常盤貴子)を招待する。なにしろ、本来は「対象外」の兄弟だから、それぞれ好奇心やら不倫の行き詰まりのもやもやから招待に応じたものの、女たちの方には、はなからそんな気はない。
ということで、この兄弟をめぐる人間関係が、発展するのか、しないのか・・・
監督は森田芳光で映像はわたしの好みである。
そして特筆すべきは沢尻エリカ。
いや、この新進女優はかわいいなあ、ファンクラブに入ろうかしら。「ことわる!」と言ってくれたら最高であります。——って、これは映画を見ていないとわからんか。
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コメント
ご無沙汰しておりました。
お元気でなによりでございます。
いつもよく読書をなさっているのですね。
つまらない記録ですがTBさせていただきました。
こうした新しい思想について如何お考えになりますか?
ご意見をうかがえれば幸いに存じます。
投稿: tsubakiwabisuke | 2006/06/18 13:26
こんばんわ。
フェミニズムについては、申し訳ないのですが、あまりよくわかりません。たぶんかつてはそれなりの意味があったのでしょうか。
ジェンダーフリーについて云々する人物に対してはまったく信用する気になれません。
たとえば少し前のことになりますが、大峰山の入山の計画を立てた大学教師でジェンダーフリー論者の伊田広行という人物がある方面で話題になっていました。
ご存知かもしれませんが、興味があればたとえば内田樹氏の書かれたこちらの文章などご参照ください。
ひどい人間が世の中にはいるもんです。
http://blog.tatsuru.com/archives/001351.php
投稿: かわうそ亭 | 2006/06/18 21:08
さっそくのお返事有難うございました。
ご紹介の内田樹氏のブログ参考になりました。
共感を覚えるものがございました。
私としては女性の社会的格差を是正することは大事だと思いますが、
今のジェンフリ活動家の考えは社会秩序を破壊する危険があると思います。
アメリカでは宗教の力が強いので日本のようなことは起きないようです。
困ったものですね。
投稿: tsubaki wabisuke | 2006/06/20 11:01
沢尻エリカ。かわいいっすねぇ。お父ちゃんが、アルジェリア系フランス人というのが驚きですが。ま、同好の士(?)ということで、TBさせて戴きました。
投稿: renqing | 2006/08/01 01:22
ははは、がっちり握手。
「パッチギ」は、いまひとつ食指が動かずにいたのですが、そうだなあ、沢尻エリカを見るために、ビデオ借りてこようかしら。
投稿: かわうそ亭 | 2006/08/01 08:56