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2006/07/30

小川洋子、マイブーム

小川洋子さんの『偶然の祝福』(角川文庫)という短編集がとても面白かった。

文庫なので、巻末にごく短い解説を川上弘美さんが書いておられる。
その2001年時点で書かれた解説によれば、川上さんは短編集なら本書、長編なら『ホテル・アイリス』が一番好きだとおっしゃる。

ふーん、と思いながら、仕事帰りにブックオフをのぞいたら、文庫の半額コーナーのほうに『ホテル・アイリス』、『やさしい訴え』、『寡黙な死骸 みだらな弔い』がたまたま並んでいたので、3冊ともゲット。そのままついでに『ホテル・アイリス』も読み終える。ただ、こっちは嗜虐的なボンデッジなどの性愛の描写にちとげんなり。いや、べつに上品ぶるつもりはないのだが、最近どうもこういうのは苦手なのであります。
暑いから?いや年でしょ、さすがに。(笑)

2006_0730 たぶん『博士の愛した数式』から読み始めた作家だったので、作風のイメージを読者のほうで勝手にきめこんでいたということなのでしょう。
もっとも、川上弘美さんが『ホテル・アイリス』を大好きだとおっしゃる理由もわからないではない。じつは川上さん自身の本『龍宮』なども、(まったく異質な作品ですが)どこかちょっと似たような雰囲気があるような気がするのですね。そして、わたしはこの本もまた苦手だったりする。

ただし、この苦手というのは、ダメだとか、きらいと言うのとも微妙に違っていて、どういうんだろう、読んでいて息が続かないような感じになるんだなあ。つまり、小説と言うのは、時間がゆるせばどんどん頁を繰って行く場合もあれば、すごく面白いのだが、なぜか数ページ読んでは本を伏せ、しばらくしてまた2、3ページ読んでは本を伏せ、というような状態になることがある。そうして、そういう風に一気に前に進めないような読み方になる場合、ああ、こういう「場面」がわたしは苦手なんだな、と思うのですね。

とは云うものの、小川洋子さんは、目下、マイブーム。
いい作家です。

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