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2006/08/24

朝日新聞、まちごうてはる

2006_0823a 『論語語論』一海知義(藤原書店)の題字はご覧のとおり、上から三つめの「語」の字が斜めに傾いでいる。
論語は固い本ですけれど、わたしのはまあ気楽にゴロンと寝転んで読んでくださいな、ということのようです。(あるいは、ちょっとずっこけているように見えなくもないね)

本書は2003年6月から2004年9月にかけて藤原書店が行った全6回の講義の記録なのですが、ご本人が、講義のなかで、「今日の漫談は」なんておっしゃっているように、なんとも愉快な講義(毎回のように脱線していくところもきちんと編集してあるのが嬉しい)ぶりで、しかも、一海知義さんは吉川幸次郎門下の高足ですから、学問の厚みが違う。面白くないわけがないのであります。

たとえば、わたしが大笑いしたところを紹介してみようか。本論からはずれるお話は罫でかこってコラムのように編集してある。

篆書と隷書の説明である。

2006_0823b_1

篆書は秦の始皇帝のころの字体ですが、これでは煩雑にすぎる。天下統一後の役人の書類仕事を、この篆書の文字でやるのはとてもやってられませんから、役人たちが自分たちで合理的な字、簡略化した字をつくった。これが隷書。「隷」は奴隷の隷。下っ端の役人のつくった字である、ト。
この隷書は、だいたいいまの楷書に近いのですが、ところどころ微妙に異なっています、という風に話は進む。
そこで先生が例としてあげたのが朝日新聞。
「朝」の「十」は突き抜けず、月も中の横棒が離れている。「新」の字も「立」の下は「木」でなくて「未」。以下先生の「漫談」——

それで小学生がこれを見て、おかあちゃん、朝日新聞、間違っていると(笑)。おかあちゃんが見てみたら、ほんまや、まちごうとる。それは教えてあげんとあかんわと、朝日新聞に電話をかける。出てきた新聞記者が若い者だから、隷書をしらないんです。あ、ほんまや、うちの新聞まちごうとると(笑)。それですぐに社長に電話する。社長もこのごろ若い者ですから知らん。ほんまやな、これは直さんとあかんと。この話はうそですけれどね。
だから日常的に隷書はいまでも生きているんです、ぼくらの生活のなかで。いまの楷書とちょっとずつ違うだけです。

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コメント

こんな字が使われているとは知りませんでした。

隷書を使う下っ端の役人の新聞ですか、なるほど。

投稿: pfaelzerwein | 2006/08/25 12:18

はは、なんせ記事は捏造、社のスタンスは英国のエコノミストにslavishly pacifist left-wing daily paperと書かれる新聞ですから、当然、間違っているのは朝日伝聞社だろうと思ったら、この題字だけは朝日が正しかった、ト。(笑)
それにしても、slavishlyという表現をつかったのはエコノミスト編集長のビル・エモットだけれども、題字が隷書だったというのは偶然にしてもよくできていますなあ。(笑)

投稿: かわうそ亭 | 2006/08/25 20:45

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