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2007/02/01

指の多い話

赤ん坊が生まれたとき、その指の数を数えて五本あることを確認したという経験は多くの人にあると思う。これは日本人に固有のものなのかどうか、よくわからない。多かれ少なかれ、どの国の親もすることではないかという気がするけれど。
多指症(Polydactyly)というのは、話には聞くが、実際自分の目で見たことはない。現代では赤ん坊のうちに余分な一指を手術で取ってしまうからだろうか。

Finger 『水辺で起きた大進化』カール・ジンマー/渡辺政隆訳(早川書房)には、肢の形成の仕方のモデルになったのがアラン・チューリングのパターン形成というアイデアだったことが書かれている。細かいことは、わたしのアタマでは理解できないが、ヒトの指が五本になっているのはたくさんあるバリエーションのなかでは数が少ないほうであり、初期の四肢類の化石には八本指、七本指などのものもあるのだそうですね。
ウマの場合は三本の指の真ん中が蹄になるのですが、ときどき先祖返りをするものがあり、こういう五本指のウマは古代ギリシアやローマでは神聖視されたらしい。アレキサンダー大王の馬もユリウス・カエサルの馬もそうであったと書いてある(p.257)が、へえ、ほんとだろうか。

『逆説の日本史〈11〉戦国乱世編—朝鮮出兵と秀吉の謎』井沢元彦(小学館)は、豊臣秀吉がこの多指症であったというフロイスの記録とこれを補強する前田利家の「国祖遺言」中の「太閤様ハ右ノ手おや由飛一ツ多六御座候、云々」を紹介し、これらの史料があまり一般の歴史書に取り上げられていないのはなぜかということを説く。歴史に現代の価値観からタブーを設けるのはよくないという主張である。そのあたりは、とくに踏み込むつもりはないけれど、恥ずかしながら、わたしはこの話は初耳であった。みなさんご存知でした?

『夜と女と毛沢東』(文藝春秋)はもう10年も前の、吉本隆明と辺見庸の対談で、なかなか面白かったのだが、そのなかで李志綏『毛沢東の私生活』という毛沢東の主治医の本に書かれていることとして、江青は右足の指が六本あったというのがあって、これもわたしは初耳の情報であった。

別に意味はないが、たまたま、立て続けに読んだ三冊の本にこの多指症の話題があったので。

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コメント

大河ドラマで秀吉が出ていた関係だったのか、昨年何かの番組で、この話題が出ていたように思います。私もそのとき初めて知りましたが、自分が見ていた番組だったわけではないので、部分的に耳にしただけです。

投稿: ミラー | 2007/02/01 20:45

 正確な出典を思い出せないので正確なコメントで無いかもしれないのですが
(ごめんなさい)
指というのは最初、手という固まりとして出来るのだそうです。
そして「指」ではなくて「指の間」になった組織が無くなっていって
5本に分離することで5本の指になるのだという話を読んだことがあります。
何かを作り出すことのみが「創造」と思っていた僕に
何かを無くすことが「創造」に繋がることもあるのだと深く印象に残った話でした。
 ジャズピアニストにも何人かいたみたいですね。6本指の人が。
小指の横にもう1本小さな指がついていて関節を動かすことは出来ないが
手を傾けることでその指でキーを押すことが可能なのでちゃんと使って
弾いていたらしいですよ。今ならYouTubeで演奏が見られたのに・笑

投稿: たまき | 2007/02/01 21:09

ミラーさん どうも。さすがテレビ。(笑)わたしも「功名が辻」は見ていなかったのですが、秀吉は柄本明がやったようですね。

たまきさん
この本によると、おっしゃるとおりまず塊ができるんだそうです。「手が扁平になると同時に丸みを帯びる際、たくさんの細胞が死ぬ。最終的にどれくらいの細胞死が起こるかは、成体の手が何本指になるかによって左右される。ヒトの胚の手では、指の付け根に向かって細胞死が起こることで五本の指が分離独立し、将来的に針仕事やトランペットの演奏ができるようになる。アヒルの場合はそれほど残酷ではなく、指のあいだの組織は水かきとして生き残る。」(p.101)
とのことであります。
無くして行くことで創造するというのは、まったく自然と言うのは驚異ですねえ。

投稿: かわうそ亭 | 2007/02/01 21:47

秀吉の話は初耳でした。秀吉に6本目の指があるということは、英雄譚なのか醜聞なのか。英雄的存在には普通の人間とは違う肉体的特長(時に畸形だったりする)があるという話はよくあると思いますが、どうなんでしょうか。それにしても関係のない本を読んでいるときに偶然関連のある(普段あまり目にしない)話題に遭遇するときの読書体験というのはとても興奮しますよね。

投稿: 烏有亭 | 2007/02/02 06:55

烏有亭さん どうも。
こういうこと(ほぼ同じ頃に読んだまったくジャンルの違う本に似たような話があること)は、ときどき起こりますね。偶然なのか、なにか意味があるのかよくわかりませんけれど。

投稿: かわうそ亭 | 2007/02/02 22:46

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