みすず読書アンケート
「みすず」1・2月合併号は毎年恒例の読書アンケート。
以下、印象に残ったものを自分の読書用のメモとして。コメントは各書評者による紹介文の一部抜粋。
三島憲一氏(ドイツ思想)の5冊から。
市野川容孝『社会』(岩波書店/2006)
「帝国」論やローザ狂いの人々による、安手の社会民主主義批判が完膚なきまでに葬られている。しかもローザを使って葬られている。
(なお本書はほかにも思想史の市村弘正氏があげている)
原武史氏(思想史)の5冊から。
アンドルー・ゴードン『日本の200年(上下)』(みすず書房/2006)
日本の近世、現代といった時代区分や、政治史、経済史、社会史といった専門分野のタコツボに安住しているこの国の歴史学会を大いに揺さぶる一冊。
名和小太郎氏(情報システム論)の5冊から。
アルフレッド・W・クロスビー『数量化の革命』(紀伊国屋書店/2003)
こんな歴史の書き方があったとは。脱帽した。もうひとつの『中世の秋』といったら褒めすぎか。
最上敏樹氏(国際法・国際機構)の5冊から。
『丸山眞男回顧談(上下)』(岩波書店/2006)
今年の白眉といってよい。
村田宏氏(美術史)の5冊から。
山本陽子『絵巻における神と天皇の表現‐見えぬように描く』(中央公論美術出版/2006)
この領域におけるほとんど最初の論集であり、くり返し参照される画期的な一書となるにちがいない。
藤井省三氏(中国文学)の5冊から。
閻連科『人民に奉仕する』(文藝春秋)
小説『人民に奉仕する』はポルノか芸術か、それとも政治なのか?
愛欲に酔いしれた男女が邸宅内の毛沢東像を破壊し尽くす場面には、私は背筋が凍るような恐怖を覚えた。
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コメント
今、ここでご紹介の、アンドルー・ゴードン『日本の200年(上下)』(みすず書房/2006)を読んでいます。
とても新鮮で興味深い日本近現代史の本です。
この本をきかっけにもう一度日本近現代を勉強しなおそうと思っています。
投稿: maru | 2007/02/17 23:07
こんばんわ。そうですか、これはぜひ読まなくては。
投稿: かわうそ亭 | 2007/02/17 23:37