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2007/04/19

飴山實全句集

このあいだうちから少しずつ読んでいた『飴山實全句集』(花神社)を読了する。

2000年3月16日、七十三歳で亡くなった飴山實(みのる)が俳句を始めたのは、巻末の自筆年譜によれば1944年に第四高等学校の寮に入った十八歳のときだったというから、その俳句歴はかるく50年を超える。しかし、生前に出した句集は五冊だけである。

『おりいぶ』(1959)
『少長集』(1971)
『辛酉小雪』(1981) 
『次の花』(1989)
『花浴び』(1995)

本書にはこの五つの句集と、俳句雑誌や新聞(晩年飴山は朝日俳壇の選者でもあった)などに発表した作品、その他未発表の句帖からの収録などを含めて一八二九句が収められている。監修は大岡信である。その大岡の「跋」によれば本来ならばこの全句集の刊行は、飴山が兄事していた安東次男に託されるべきものであったけれども、そのとき安東はすでに病床にありこれを果たせる状態ではなかったために大岡が関わることになったとある。

飴山の略歴は、とくにここでわたしが書くまでもないことだが、ひとつだけわたしにとって重要なことは、この俳人が1969年から山口大学で教鞭をとった(飴山は発酵醸造学の教授でもある)ことであり、最晩年もまた山口市の自宅で過ごし、朝日俳壇の選考には毎週宇部空港から東京築地まで通うなど、山口県に縁があることだ。飴山が山口市に赴任した頃は、わたしは14、5歳の少年で、ときどき市内の本屋などをうろうろしたこともあるので、どこかですれ違ったことがないとも限らない。が、そういうことより何より、この俳人の作品に山口の風景が出て来るとしきりに懐かしいのである。
ということで、そういう作品のみをもっぱら自分のために抜いてみた。

 一ト畑は嫗のほまち桃の花
 川自慢それから鮎と酒のこと
 初夏のむらさき透ける貝の殻
 秋の蜂萩の土塀を西東
 新豆腐写経の筆を買ひに出て
  秋吉台
 火の雫こぼす松ある野焼かな
 花の雨お百度石をよごしけり
 残生やひと日は花を鋤きこんで
 卯の花のこぼれては浮く堤かな  *堤は溜池
 萩までの往還にして花野かな
 酢牡蠣してまなうらに雪ふりつづく

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d)俳句」カテゴリの記事

コメント

今日は。
フランス人の日本文学の翻訳者です。飴山實先生の俳句が好きで、[引き出しに剃刀くもる旱星]のフランス語訳を今編集しているフランス語での日本俳句集に入れたいと思っておりますが、その許可を得るためにどうすればよいでしょうか。今著作権を持っている方のご住所でも教えていただけますでしょうか。
コリーヌ アトラン

投稿: コリーヌ アトラン | 2007/09/11 22:37

はじめまして。
すでにご存知かも知れませんが、現代俳句協会という団体があります。もしかすると、飴山氏の著作権継承者についての問い合わせなどにも、応じてくれるかも知れません。

現代俳句協会
東京都千代田区外神田6-5-4偕楽ビル7階
電話03−3839−8190・FAX03−3839−8191
http://www.gendaihaiku.gr.jp/index.shtml
メール
info@gendaihaiku.gr.jp

投稿: かわうそ亭 | 2007/09/12 00:13

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