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2007/05/29

岡井隆の短歌読解法(1)

岡井隆の『わかりやすい現代短歌読解法』(ながらみ書房)は、NHK学園短歌講座の機関誌「短歌春秋」に連載の現代短歌講座を五十二回分まとめたもの。
この「短歌春秋」は季刊なので、年に四回の発行。五十二回分ということは足掛け十三年に及ぶ。(1993年4月号から2006年4月号まで)ずいぶん息の長い連載でありますが、いまもまだ続いている様子です。「あとがき」に以下のようにあります。

生涯教育の講座の機関誌ですから、読者層は、中高年の人たちが多く、歌を始めたばかりの方々が対象であります。なるべく分かりやすく、現代短歌の作り方、読み解き方を話すかたちで書きはじめたのですが、目次をごらんになってわかるように、次第に書き方が変わってゆき、新刊の歌集をとり上げて、秀歌を解読するという、いわば時評または書評のような文章になって来ました。

歌集というのは、一般の読者にはなかなか目にとまらないし、偶然に目にとまったとしても、ちょっと、とっつきにくいものです。たまに短歌を読むのは好きですが、あえて未知の方の歌集を買って読むほどの熱意はない。毎月の短歌雑誌もところどころ拾い読みする程度の読者であるわたしにとって、岡井隆という大家がいろいろな歌人の紹介の労をとってくれるような内容の本書は、ちょうど手頃な現代短歌のガイドブックになっているような気がしました。
本書に取り上げられた歌集のうち何冊かは、わたし自身も目を通したことがあるものでしたが、大半ははじめてその歌人の存在を教えられるようなものでした。読んだことのある歌集にしても、ああ、そんな風に味わえばいいんだなと得心がいくことが多かった。
岡井隆の「短歌読解法」は、べつに権威的な嵩にかかった物の言い方ではない。二三、例をあげてみよう。

詩は、一般に、分析とか解釈を拒む性質があるので、細かく内容に立ち入って論ずるより、読んで一気に感じとるのが大切だとおもいます。

歌は、詩でありますから、ことさらに解釈にこだわる必要はありません。そのままに読み下して、一つの感覚として「感じのいい歌だ」とか、「はなやかな気分だ」とか、「すっきりと胸に落ちた」とか、思えばいいのであります。

そのこと自体は、美しくもないし醜くもないことを、歌の中に歌いとどめると、にわかに美しく見えてくるということがあります。歌の極意というものがあるとすれば、そういうなんでもない一瞬の景色や、一瞬の心の動きを、言葉によって一首の中に移し植えるという、その技法なのでしょう。

面白い本だったので、もう少し、この本にからめた話をつづけます。

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