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2007/06/06

ブランド「はなれわざ」

2007_0606 クリスチアナ・ブランドの『はなれわざ』(原題:Tour De Force)は、1991年発行の早川書房編集部編『ミステリハンドブック』の「読者が選ぶ海外ミステリ・ベスト100」では第31位、名作の誉れ高い作品であります。

ブランドはわたしは長編では『ハイヒールの死』、『緑は危険』、『疑惑の霧』の3冊を読んでいる筈だが、同じく名作と称される『ジェゼベルの死』はたぶん読んでいないと思う。短編集では『招かれざる客たちのビュッフェ』が面白かった。

さて本書については、冒頭に書いたようにミステリー・ファンの間では結構有名で、わたしもむかしから題名だけは知っていたのだけれど、なかなか出会う機会がなくて今回はじめて読んだ。原著の刊行は1955年なので、なんとわたしが生まれた頃の作品であります。宇野利泰訳でハヤカワ・ポケット・ミステリ(474)に収録されたのが1959年だから、もう半世紀も昔のミステリーということになるのか、やれやれ。

半世紀前の、イギリス人の団体イタリア観光ツアーという趣向なのだが、いまなら誰でも知っているような地名や料理名などにもいちいちこまかな訳注がついていて時代を感じさせる。
たとえば、トルティーヤだと思うのだが、「トーティールラ」という料理にはこんな注がカッコのなかに小さな活字で組んである。「とうもろこし粉をこねてまるく伸ばし鉄板の上で焼いたケイキ、これはスペイン風 訳注)
そのすぐあとにピッツアが出てきて、この解説は「トマト、チーズ、肉などをパン粉にまぜて焼いた大型パイ、これはイタリイ風 訳注」。(笑)
まあ、こういうのはご愛嬌ということで。

ミステリーとしては、さすが名作の評判に違わぬ面白さで、楽しむことができましたが、オハナシの基本的な設定が、古畑任三郎のある回と同じでありまして(つまり三谷幸喜さんはあきらかにこれを下敷きにしていますな)ああ、これをつかったのかぁ!とにやりとしてしまった。
古畑のどの回のものかを言ってしまうと、ネタバレになるおそれがありますので、ここではパスしますが、わたしはファイナルまでふくめた古畑シリーズのなかでも、とくにあれはよくできていたと思っていたので、嬉しくなったのであります。

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コメント

■【宇野利康訳でハヤカワ・ポケット・ミステリ(474)に収録されたのが1959年だから】という箇所の、
「宇野利康」は、
「宇野利泰」ではないでしょうか?
どなたも指摘なさらないようなので僭越ながら・・・

投稿: miwako | 2007/06/15 16:46

ほんとうだ。ぜんせん気づいていませんでした。本文訂正いたしました。どうもありがとうございました。このコメントを訂正記録とします。

投稿: かわうそ亭 | 2007/06/15 22:57

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