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2007/07/17

浦沢直樹『MONSTER』

昨日は雨。浦沢直樹の『MONSTER』全18冊をドーンとテーブルの上に積んで、休日のマンガ一気読み。至福である。
斯界に詳しい方からは、なにを今頃と笑われそうだが、わたしと同じように最近のマンガの動向にあまり詳しくない方のために、アエラムックの「ニッポンのマンガ」の村上知彦の文章の一部を引いておく。

浦沢直樹の『MONSTER』は、1997年度第1回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門優秀賞、2001年度の第46回小学館マンガ賞にも輝いた作品。冷戦終了後のドイツおよびチェコを舞台に、東西分断の悲劇が生んだ恐るべき殺人者と、彼を追う若き日本人医師の闘いを描くサイコ・サスペンスである。1994年から2002年にかけて「ビッグコミックオリジナル」に連載され、映画や小説をもしのぐスケールの大きさと、緻密に構成された知的な物語性が評判を呼んだ。

なおこの文章のなかで、二つの賞を挙げて、これら「にも輝いた作品」という表現になっているのは、本作が第3回の手塚治虫文化賞大賞受賞作品だからであります。
いろんな賞を受賞しているから読んでみて、やっぱりすごい作品でした、というのは後出しジャンケンみたいであんまりみっともいいものではないが、まあ、たしかに読み応え十分でわたしもすっかり堪能しました。さすがに18冊一気読みはくたびれたけれど。(笑)
20070716 わたしの見るところ、ストーリー・ラインや登場人物のリアリティという面では、多少、留保をつけざるを得ないが、それは本作についてさほど致命的なことではない。マンガにおいて重要なことは、まず絵である。浦沢の絵について、とくにすごいのは何十人もの脇役の人物の造形だな。本作にもたくさん印象的なキャラクターが出てくる。そして、たぶん、これはファンの間ですでにいろいろ論じられているのだろうけれど、多くの場合その印象的なキャラクターの原型が手塚治虫のそれであるということだろう。
天才外科医Dr.テンマがはからずも命を救った少年が恐るべき力を有した怪物だったというところがすでに鉄腕アトムへのオマージュであることは誰にも明らかだが、そのほかにも、Dr.テンマのモグリ医師挿話はブラックジャックだし、ははあ、これはヒゲ親爺か、こいつはドロロと百鬼丸、こいつはアセチレン・ランプ、これはハムエッグかしらなんて想像するのも結構楽しい。これくらいたくさんのキャラクターを描き分けることのできるマンガ家は珍しいのではなかろうか。

Wikipediaによれば、2005年に『ロード・オブ・ザ・リング』などの製作で知られるニュー・ライン・シネマが映画化権を獲得しており、脚本はジョシュ・オルソンに内定しているとのこと。IMDbを見ると、2009年の公開予定となっているが(ここ)、現時点では上記の脚本以外は公表されていない。Dr.テンマは、ぜひ日本人の役柄としてやって欲しいけれど、どうなるのだろう。候補としては真田広之あたりかしら。それとも、ハリウッドのことだから設定をアメリカ人医師にしてブラッド・ピットなんかがやるということも考えられるなあ。

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