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2007/07/10

「平成秀句選集」(3)

「は」から「わ」まで。159人。長谷川櫂、正木ゆう子、森澄雄など22人を外した137人の1370句。
最初に丸をつけた句が30句。ここから24句まで絞ってみました。

春の星おんぶの腕が首を巻く     橋爪鶴麿
道なりに行くしかなくて大夏野
この先はと問うきりもなく降る雪に
雪礫われに投げし子吾子になれ    橋本美代子
分度器に透きたる海図秋の風     花谷和子
転ばずにお帰り狐火ともる頃     原雅子
野の草へ露を配りにゆくところ    ふけとしこ
スープ澄むどんどん雪のはやくなり  ふじむらまり
かかへくるカヌーの丈とすれちがふ  藤本美和子
懸大根火星の赤き夜なりけり     細谷喨々
秋かすむ戦艦といふこはれもの    松澤雅世
蚕豆は昔の顔をしてゐたる      武藤紀子
貝寄せに鯨の骨も混じるべし
淡雪や恋遂げ来しか魚青き      望月百代
赤い箸つかふ夏痩はじまれり
そこまでがこの世の高さいかのぼり  本宮哲郎
金泥の一巻を展べ春の海       八染藍子
ザリガニの音のバケツの通りけり   山尾玉藻
陽炎をよく噛んでゐる羊かな
林檎剥く皮ながながと戦前派     山口速
梨はをとこ葡萄はをんなの重さにて  山下知津子
動悸息切れ骨粗鬆症青き踏む     吉田未灰
この先は知らぬ存ぜぬ道おしへ
素つ気なき男の如し短日は      渡辺恭子

さて、以上で『平成秀句選集』を材にした未知の俳人私家版アンソロジーができました。
まとめてみると506人の平成俳人のうち知っている(ある程度の先入観をもっている)方が92人。わたしにとって未知の俳人が414人。ここから89句をいただいたことになります。おおよそ百句に対して二句の割合。
すべてを通して心がけたのは、その方の師系や年齢には重きを置かず自分の好悪に徹するということ。結果としてなんとなく言えるのは、大仰なポーズに見えるものは選ばなかった、閉じてかたくななものは選ばなかった、どこにもおかしみのかけらも見えないものは選ばなかった、というようなことになるようです。
逆に言えば、それがたぶんいま現在のわたしの俳句観なのだと思います。

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コメント

おもしろい句をたくさん紹介していただいて有り難うございました。楽んでいます。

今日の分を順番に読んでいって、これ好き!と思った句が、――先に目に入ったのが句が先だったのか作者名が先だったのかがわからないのですが、――“雪礫われに投げし子吾子になれ”。

橋本美代子さんは、橋本多佳子の四女ですね。美代子編の多佳子句集を持っていたので知っていただけなのですが。

投稿: かぐら川 | 2007/07/11 00:50

コメントいただくまで気づきませんでしたが、たしかにそうですね。
大正14年、北九州市小倉生まれ。師系山口誓子。「天狼」を経て「七曜」主宰。

投稿: かわうそ亭 | 2007/07/11 18:24

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