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2007/08/28

略奪された花嫁の時代の到来

町で、いきいきとした、なかなかいい面構えの若者グループがいるなあと思うと、にぎやかな中国語のやりとりが聞こえてきたりする。要はそういうタイプの若者だから外国にもどんどん出て行くのだということなのだろうが、同世代の日本の若者諸君は、知的にも体力的にも、総じて彼らにかなわないのじゃなかなあ、とオヤジとしてはついつい見比べてしまう。
かの国の経済発展が自信とオーラを彼らにはあたえ、わが国の経済力の低下が、同胞の青年たちから生気をうばっている、と、とりあえず考えてみたりもするが、ま、素人の寝言であります。

アメリカがくしゃみをすれば日本は風邪をひく、というのが、わたしたちが子供の頃に教えられた日本にとっての国際関係のいろはであった。
さしずめ、いまは中国がオナラをすれば日本は悶絶する、ということになるのかもしれない。

中国の未来は、世界の未来でもある。なにしろ、世界人口の4人に1人は中国人である。

欧米の中国関連の記事を、ときどき思い出したように精読する。
たまたま、ニューヨーク・タイムズは26日付でジョセフ・カーンとジム・ヤードレイのかなり長文の署名記事で中国の環境問題をとりあげている。もっとも、これはかなり前から、同じような内容の記事をかれらは書いているのを、たまたま、わたしは読んでいたのでそれほど驚かない。ただし大気、水、などの環境汚染がアナリストなどの予測よりはるかに前倒しで現実のものになっているというのは憂鬱な話である。
国内の経済格差と環境汚染の実質的な放置で中国社会が不安定化する、というのは、ひとつのシナリオではあります。

一方で、これはちょっと虚をつかれた感があるのが、25日付のBBCの記事。(ここ)

The Chinese government says it is drafting new laws to tackle the growing gender imbalance caused by the widespread abortion of female foetuses.

81950575_293ba15729_b 男女の比率があまりに不均衡になっているので、中絶に対する法的な処罰を厳格化するというような内容であります。
生まれてくる子供が女の子だったら中絶しちゃう、というのは、80年代から本格化した一人っ子政策のせい。(ただし、これはそんなに単純な政策ではなくて、少数民族のとりあつかいなど細かいところはいろいろあるようだが)
なにしろ子供がひとりしか持てないと決められていれば、老後の年金が、聡明きわまる政治家さまや官僚さまのおかげで盤石な日本とはちがい、子供に養われることが前提の中国社会であれば、女の子であっては困るという計算もある。男子継嗣という伝統文化もまだまだ払拭できてはいない、というわけですね。

ジェンダー・レシオというのは、女児100人に対して男児が何人であるかという比率だと思いますが、よく知られているように、自然状態でもこの比率は男児が女児よりすこしだけ多い。WHOはこれを107を超えないくらいがよろしいと推奨しているのだそうです。日本のデータはメンドクサイから調べていません。そんなに差はないであろう。

ところが、この記事によれは中国政府機関は99の都市でこのジェンダー・レシオが125を超えているというのだそうです。もっとも高い町ではなんと163.5だったと発表した。女児100人に対して男児163人であります。
これはなかなか考えてみるとインパクトのある数字です。

なにしろ繰り返しになりますが、地球上の4人に1人が中国人であるというほどの人口の国で、ジェンダー・レシオが125を超える(自然状態ではありえない)ということが、なにを意味するか。
嫁不足じゃなあ、というくらいの笑い話ですめばよいが、これが経済格差や生命の安全などと複雑にからみあうわけですね。

むかしから、破れ鍋に綴じ蓋といいまして、なんぼ貧乏だって、分相応な嬶ぁくらいはもてたから、まあ、世の中は治まっていたのかもしれません。飢餓や貧困に加えて配偶関係にありつけないという事態は、これはなかなか為政者はたいへんなことであります。

いいじゃん、男同士でパートナーになって素敵な家庭を築けば、という前向きな意見もあるかもしれないが、そんなことを言うと雄の怒りの炎に油を注ぐような気がしないでもないぞ。(笑)

(photo by Questionhead on Flickr; thanks  for sharing)

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