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2007/09/18

チェチェン補遺

Kavka_b_2 チェチェンを地図で確認しておこう。
コーカサス山脈は、黒海とカスピ海を結んでいる。これは地政学的にはロシアと中東とを分ける線である。それは今日ではイスラーム世界と非イスラーム世界が入り交じる境界でもある。
チェチェンはこのコーカサス山脈の北側の山麓と平地に位置する小さな国だ。面積は岩手県にほぼ等しい。近隣国との位置関係は次の通り。
西はチェチェン人と同系統の民族が住む小さなイングーシ共和国。東はカスピ海に面した多民族国家のダゲスタン共和国。
山脈を越えて反対側である南はグルジア、アルメニア、アゼルバイジャンである。
なお、チェチェンは本来は形容詞であり正式の地名は「チェチニア」と言うのだそうです。ロシアとの何百年にもわたる戦闘がこの国の男に、格闘技への愛好と勇気と不屈の精神を植え付けた。
前回に紹介した『誓い』のハッサン・バイエフも、高校時代にソ連のジュニア柔道大会のチャンピオンであり、この柔道の功績で奨学金を得て学業をつづけることができた。
彼は他のチェチェンの男たちと同じく敬虔なイスラーム教徒であり、メッカへの巡礼(ハッジ)も行っているが、ソ連邦で医学教育を受けた外科医でもある。当然、イスラーム原理主義には与しない。ソ連で学んだヒポクラテスの「誓い」を己の行動指針にして、負傷者には敵味方の区別を一切許さず治療にあたったために、ロシア連邦軍からは「ならず者の医者」として手配され、チェチェン人の過激派からは「裏切り者」として拉致されほとんど暗殺される寸前まで行く。
現在はアメリカ在住。たしか昨年、日本へも招待されていたのではなかったかな。
二度にわたるチェチェン戦争のなかで戦火の祖国に留まり医療活動を続けた。その想像を絶する手記を読むと、チェチェン人といえばマフィアやテロリストやアルカイーダと同一視(ハリウッドとクレムリンの合作だね)してしまいがちなわれわれの横つらを張り飛ばして正気に戻してくれるような力がある。

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