走れトロイカ
この頃は冬になってもそんなに寒さが厳しくなくて、あまりそういう気分がでないのだけれど、むかしは冬の歌の定番といえばダークダックスの「雪の降る町を」であった。(いつの時代やねん(笑))これは内村直也作詞・中田喜直作曲。
ほかにも、子供向けのたのしい歌としては北原白秋作詞・山田耕作作曲の「ペチカ」なんてのがなつかしい。「雪の降る夜は たのしいペチカ ペチカ燃えろよ お話しましょ」。
もうひとつ、よく歌われていたのがロシア民謡の「トロイカ」ではなかろうか。
「雪の白樺並木 夕日が映える 走れトロイカ ほがらかに 鈴の音高く」。
以下は米原万里の『真昼の星空』(中央公論新社)から。(「御者とタクシードライバー」)
米原さんはご存知のように小学校三年からプラハの外国共産党幹部子弟のためのソビエト学校に通った。授業はすべてロシア語。
中学二年の三学期に日本に帰国したが、ちょうどその頃、音楽の授業で「トロイカ」を習ったというのですね。
ところが、米原さんはそれがソビエト学校でも教えられた「トロイカ」の日本語版とはまさか思わなかった。
音楽の先生は「元気いっぱい陽気に歌いましょう」と指導し、歌詞も、ほがらかに鈴の音高く粉雪を蹴って恋人の待つ楽しい宴に向かう若人を描いている。
しかし、元のロシア語の歌は、もの悲しいというよりも陰鬱な響きで貫かれている。なにしろ歌詞の内容は、トロイカの御者が客の旅人にぶちまける悲恋物語なのだ。農奴上がりの御者が愛しい許嫁を、地主の旦那に奪われてしまった悔しさ惨めさがひしひしと胸を打つ。
これを読んで、わたしはなるほどそうだったのかと納得した。子供のころから、この歌にはどうも嘘っぽい感じがしてならなかったのである。
だって全然楽しそうじゃないじゃん。ロシア人というのはやっぱりあんまり寒いところに暮らしているから、なんか無理して必死で楽しいふりをするんだろうか、なんて思っていたのであります。(笑)
なんだ悲恋物語のメロディでしたか。それなら日本語でもちゃんとそういう歌詞にすりゃいいのにさ。
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