陽美保子さんの俳句
「俳壇」2月号にて第22回俳壇賞の発表が行われている。
今回は菅野忠夫(春野)と陽美保子(泉)の二篇受賞である。
応募総数388。選考委員は友岡子郷、宗田安正、宮坂静生、黛執、片山由美子の五名。
受賞者のお一人である陽美保子さんは、わたしは直接お会いしたことこそないが、数年前までネット句会などでご一緒したことのある方である。
こんなことを言ってかえって失礼になってはいけないとも思うのだが、俳句の作り方の、いろはのいの字も知らないようなわたしが初めて参加した句会で(はは、いまでもほとんど進歩はありませんが)なるほど俳句の骨法とはこういうものかと啓蒙していただいたのが、この陽美保子さんのおつくりになる句であった。
その頃は、まだ陽さんご自身もたしか結社に入られてそれほど年数のたたない頃だったかに聞いていたが、早いうちに同人に推されたことをほどなく知った。
今回の「遥かな水」三十句を読みながら、ああ、やっぱりこの方の俳句は好きだなあ、と思った。
「言葉を軽々と使って心の弾みを表している」(宮坂)、「どの句にもこの人の特色である詩のあること」(宗田)という選考委員の評があるが、何度か句会の選やわたしの旧サイトの掲示板でのやりとりで、わたしなりに感じていた、この方のあたたかい人柄や聡明さがのびのびと出ていて、読んでいて、ほんとうに気持ちのほどけていくよい俳句である。
わたしたちの人生は、軽々したこと、明るいことばかりではない。それはだれにとっても同じで、この方についても例外であるはずがない。しかし俳句はつらいこと悲しいことを詠うよりも、それを乗り越えていくこころのかたちを指し示すのに向いている文芸なのではないかと、わたしは常々考えている。この方の俳句を、わたしが好きなのはそういう「かたち」を感じるからではないかと思うのだ。
三十句(どれも好きだが)のなかから十句ばかり選んでみた。
湖面より空の始まる帰雁かな
藁屑の高く飛んだる牧開き
人ごゑのとどかぬ辛夷咲きにけり
腰下ろす隣に蝮草の丈
麦刈つて夕風かるくなりにけり
砂山は叩いて作れ土用波
またここに集つてゐる木の実かな
遥かなる水かがやける浮寝鳥
雨降つて山の消えたる鳰
静けさに佇むことも冬木の芽
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コメント
どの句も、陽さんの人柄を思い出させる薫りがありますね。“またここに集つてゐる木の実かな”“静けさに佇むことも冬木の芽”のちがった風格の二つの句に、とてもなつかしい思いがしました。
“人ごゑのとどかぬ辛夷咲きにけり”――、俳誌『辛夷』の名づけのきっかけになったコブシが、八尾にあると聞いていながら尋ねずにいたことを思い出しました。
投稿 かぐら川 | 2008/01/14 19:08
いや、ほんとうになつかしいですね。
もちろん俳句の境地はいよいよ深くなっておられることと思いますが、その核にある美保子さんのポエジーは、あのころのままという気がして、ファンの一人としてはうれしい限りです。
投稿 かわうそ亭 | 2008/01/14 20:53
かわうそ亭さん、かぐら川さん、こんにちは。
本当にご無沙汰しています。最近私はあまりネットを見ないのですが、ナツ女さんに教えられて遊びにきました。
かわうそ亭さんに取り上げていただき光栄です。・・・というか、あまりにも誉めていただいて、恥ずかしくてちょっと出て来にくかったです。どうもありがとうございます。
かわうそ亭さんもかぐら川さんもずっと休むことなく内容の濃いネット発信を続けていらっしゃって頭が下がります。私は長続きしなくて・・・。なんとか俳句だけはほそぼそと続けていきたいです。
投稿 美保子 | 2008/01/15 20:33
このたびは受賞おめでとうございます。
「俳壇」に掲載されていた「受賞の言葉」、控えめだけれどしっかりと地に足のついた美保子さんらしい文章だなあ、と思って読ませていただきました。—あは、あんまりほめてはいけないか。(笑)
ますますのご活躍を期待しています。
投稿 かわうそ亭 | 2008/01/15 20:53
どうもありがとうございます。今度は文章まで誉めていただいて、ますます恐縮です。かわうそ亭さんの時々一句も楽しみにしています!そうそう、私の本棚に今も招き猫が2匹ちゃんと鎮座していますよ!!
投稿 美保子 | 2008/01/16 20:25
美保子さま、受賞おめでとうございます。
ようやく今宵から北陸の地にも寒気と雪が訪れたようです。
こな雪にうれしさ軽く前に跳ぶ
と、あいかわらずの駄句でほんとに恐縮ですが、祝いの気持ちで大目にみてください。
投稿 かぐら川 | 2008/01/17 01:01
かぐら川さん、ありがとうございます。
こな雪にうれしさ軽く前に跳ぶ かぐら川
旧き友よりポンカン二つ 美保子
ありゃ、連句の感覚忘れちゃいました。失礼。
投稿 美保子 | 2008/01/17 20:36
かわうそ亭さん、かぐら川さん、美保子さん、こんにちは。
美保子さん、俳壇賞、おめでとうございます。
とてもなつかしくてうれしかったです。
こな雪にうれしさ軽く前に跳ぶ かぐら川
旧き友よりポンカン二つ 美保子
すっぱいねあまいねみんな冬ごもり きよみ
投稿 きよみ | 2008/01/18 23:14
かわうそ亭さん、美保子さん、かぐら川さん、きよみさんこんにちは。
美保子さん、俳壇賞おめでとうございます!
いい句が並んでいますね。
私も本屋へ走ります。
こな雪にうれしさ軽く前に跳ぶ かぐら川
旧き友よりポンカン二つ 美保子
すっぱいねあまいねみんな冬ごもり きよみ
空いつぱいに歓声あがる 萩月
投稿 萩月 | 2008/01/18 23:35
うわぁ、きよみさんと萩月さんも。
どうもありがとうございます。
なんだか同窓会をしているみたい♪
やっぱりかわうそ亭さんのブログ皆見ているんですね。
投稿 美保子 | 2008/01/19 20:03
こんにちは(*^。^*)
かわうそ亭さんの読みやすく上質なブログ、時々覗かせて頂いて知的刺激を頂いています。ありがとうございます。
美保子さん、おめでとうございます!この間街の本屋さんへ行ったらもう品切れでした。3軒も廻ったのよ(笑)。札幌に美保子さんあり、であっと言う間に売り切れたのですね。(取り寄せ頼みましたが未だ来ない。)
投稿 ナツ女 | 2008/01/21 15:28
きよみさん、萩月さん、ナツ女さん
みなさん、おひさしぶりです。
俳句子の交わり淡きごと水のごとし。(笑)俳句とはありがたいものですね。
投稿 かわうそ亭 | 2008/01/21 20:32
かわうそ亭さま、みなさま
こんにちは
そして美保子さん、受賞おめでとうございました。
やっぱり、俳句界は美保子さんにスポットライトを当ててきましたね。
私も美保子さんのファンの一人として応援しております。
受賞者三十句近詠も楽しみにしています♪
かわうそ亭さん、これからもプログ時々、寄らせていただきますね。
投稿 千枝 | 2008/01/30 13:32
千枝さま
こんにちわ。ようこそお越し下さいました。
どうぞよろしくお願いいたします。
投稿 かわうそ亭 | 2008/01/30 17:29