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2008/09/10

右城暮石の俳句

Koe 古本屋に『右城暮石句集 声と声』(近藤書店)があったので買って帰る。
右城暮石(うしろ・ぼせき)は大正の終りから、「倦鳥」(主幹松瀬青々)によった俳人だが、戦後は「天狼」(戦前の新興俳句の流れをくむ)に加わった。
簡単な略歴を記す。

 1899年生
 1918年大阪電燈入社
 1921年「倦鳥」入会
 1946年「風」同人
 1949年「風」を辞して「天狼」同人
 1952年「筐」(かたみ)創刊
 1956年名称を「運河」にあらため、主宰
 1971年蛇笏賞
 1995年歿

「運河」は1991年に茨木和生氏が継がれたそうですが、わたしが買った『右城暮石句集 声と声』はこの「運河」創刊30周年を記念して1985年に限定三百部で復刊されたもの。
復刊本なのできれいな状態でありました。序文は山口誓子が書いていますが、その書き出しはこうなっている——

右城暮石氏は「倦鳥」と「天狼」の接木作家である。「倦鳥」を台本として、それに「天狼」を接ぎ。自己を進めた作家である。

おそらくこれにつきているのだろう。
誓子の解説にならって、わたしもこの句集から、「倦鳥」時代のものと、「天狼」に加わって以降のものから気に入った句を抜いてみた。どこか懐かしく、せつないような気分にさそわれる。いい俳人だなあ、と思う。

  短夜の波は波より起り來る
  蜆蝶秋日の土に落ちつかず
  雪のあと四五日濡れて山社
  何の苦もなささうに死に金龜子
  葛城の麓まで雪の大和側
  打水の土凹ませて炭運ぶ
  よき道へ上りてほつと春の雨
  何かありし跡輪になつてはこべ萠ゆ
  春の蚊の低きへ飛びて見失ふ

  息にくもる特急白き椅子カバー
  蜻蛉の死にても臭ひあらざりき
  綿虫を指さす誓子掴む三鬼
  氣が遠くなる春山のてつぺんは
  颱風を充ちくるものゝ如く待つ
  濁流に入りし藁塚須臾に消ゆ
  便所の扉石で押へて吉野さむし
  丸裸にて幼な児の海を享く
  虹の輪や家鴨の番を犬がして

縦書きにした方が、読みやすいと思うので、画像にしたものも下に載せておきます。

Ushiro_1_2

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