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2009/04/17

対飼いの鷹

20090416 海堂尊の『チーム・バチスタの栄光』を読む。
宝島社文庫の帯には「200万部突破!第4回『このミス』大賞受賞作/待望の映画化!」の文字が踊っている。帯には映画のキャラの写真が付いていて、上巻が田口役の竹内結子、下巻のほうは白鳥役の阿部寛である。
第二作の『ナイチンゲールの沈黙』の上巻の帯には累計300万部とありますから、大ヒットですな。
たまたま先日、テレビでやっていた映画版のいちばん最後の犯人解明のところだけ見ました。うん、なるほど、そうきたか、てな感想。(笑)

ま、ネタバレのあとでミステリを読むのも冴えない話なんですが、じつは原作の小説を読んだのは、別の理由がありまして、英会話の先生をしてくれているアメリカ人がこの『チーム・バチスタの栄光』を読んで、不明な日本語を書き出していたなかに、「天網恢々疏」だの「朴念仁」だのといった言葉といっしょに「対飼い」なる言葉が並べてあったのでありますね。

「対飼い」とはなんだろうと疑問に思って、どういう場面で使われていたのかと尋ねると、キリュウとナルミってのがいてさ、このふたりが古くからの師弟関係であり同時に義理の兄弟という関係で、このふたりを形容する表現だったような気がするなあ、なんて言う。
うーん、それって、もしかしてナルミがキリュウの「子飼い」の部下だったなんていうのと違うのかい、と聞くと、いや、それはないね、逆にこのふたりがほとんど対等だという文脈でつかわれていた言葉だもん、と言う。かれは「子飼い」くらいの日本語はちゃんと知っているのでありますね。

というわけで、「対飼い」がどこに出てくるのかしらと読みはじめたわけであります。
さいわい、小説のほうもなかなか面白く楽しめるものでしたが、肝心の「対飼い」は下巻に三カ所、使われておりました。

下巻142頁「鳴海は高慢なペルシャ猫などではなかった。もう一羽の鷹だった。桐生と対飼いの鷹。」
158頁「風切羽を叩き折られた対飼いの鷹は地に墜ちた。」
248頁「彼に対して『ゴンちゃん』と呼べるのは、もう藤原さんくらいしかいないのだろう。『マコリン』『ゴンちゃん』という対飼いの呪文は、封印された東城大学医学部付属病院のトップ・シークレットなのだ。」

うーん、この作家は、おそらく「つがい」と読ませるつもりで、この字をあてているようですが、これはいただけない。
とくに前の二つは、外科医の男ふたりを、二羽の精悍な鷹として形容する意図があるわけで、「親子鷹」ならぬ「兄弟鷹」ならばともかく、つがいの鷹では日本語としてはいささか問題があるなあ。
へんな日本語を外国人に教えてはいけません。(笑)

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コメント

 「対飼い」(つがい)ですか。実はこの当て字(というより熟字訓というべき?)は知らなかったのですが、そして引用されている個所を読んで、「つがい」だなと思ったのですが、――そしてなかなかいい字遣いだな、「番」よりずっとわかりやすいじゃん――と思ったのですが、〔「ですが」が続きますが〕確かに意味合い的には、不自然ですね。「つがい」にはpairの意味もありますから、そんなところなのでしょうか。
 なにかこの人なりのこの言葉への思い込みがあるのでしょうね。話は変わるのですが、先日ある講習会に行ったところ、人生の大先輩と思しき年配の講師の方が、“門戸(もんど)を開く”とテキストの読み上げておられて、こちらがおろおろしてしまいました。今、「門戸+もんど」で検索してみると、地名で「もんど」というところがあるのですね。この講師の出身地なのかも。。。

投稿: かぐら川 | 2009/04/23 23:02

こういう間違いって、けっこうありますね。
辞書を引く手間を惜しんで、適当に読んでいるうちにまちがって覚えてしまう。前場、幕間なんてのを、恥ずかしながら、わたしも間違えた経験あり。(笑)年をとるとだれも訂正してくれないから、「被害」はかえって甚大になる傾向にあるようで。
門戸を「もんど」と読むのは、関西では「門戸厄神」がありますから、さほど不自然ではないかもね。たぶん、その方も関西の方では?

投稿: かわうそ亭 | 2009/04/23 23:59

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