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2009/06/03

短歌6月号

6月号の「短歌」(角川書店)から目にとまった歌。

葉桜よ平和の繁るトポスにて草薙剛をいじめて遊ぶ

マスクの人に囲まれながら歩き出す我は連行さるるならねど

六十五歳超えたるわれは老次として二万円の金子賜る       老次(おいなみ)

   佐佐木幸綱「月の鼠」より


黄あやめに静かな雨が降り出だし深泥池対岸灰緑となる

うつらうつらと千年ほどが過ぎたのよ風にそよぎし竹たちが言ふ

美しく歳を取りたいと言ふ人をアホかと思ひ寝るまへも思ふ

   河野裕子「母系」

なお河野裕子さんの「母系」は第43回迢空賞受賞作。(石川不二子さんと同時受賞)「短歌」で読んだのはその「抄」だが、どれもこころに沁みるいい歌だった。「アホかと思う」はいいなあ。そうだよねえ。(笑)

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コメント

「アホかと思ひ」、私も同感。これは「バカ」ではニュアンスが変わってしまいますね。
「寝るまへも思ふ」、ここに繋げたのがおもしろい。
寝る前、というのは、ひょっとしてアホだと思いながらも、やっぱりちょっと着になっていて、最終的にアホやと落ち着いたのでしょう。

投稿: 水夫清 | 2009/06/11 12:42

寝るまへも思う、がやはりよく利いていますね。
そういえばこの歌を思い出した。

老醜はありて老美は辞書になしあはれなるかなや老といふもの

大吾法利雄

投稿: かわうそ亭 | 2009/06/11 23:03

人間の構成はおおざっぱに言って、体と心。
老いれば体はみすぼらしくなるのは誰しも同じこと。
美しさは心で勝負、ということになりますな。

投稿: 水夫清 | 2009/06/12 09:40

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