短歌6月号
6月号の「短歌」(角川書店)から目にとまった歌。
葉桜よ平和の繁るトポスにて草薙剛をいじめて遊ぶ
マスクの人に囲まれながら歩き出す我は連行さるるならねど
六十五歳超えたるわれは老次として二万円の金子賜る 老次(おいなみ)
佐佐木幸綱「月の鼠」より
黄あやめに静かな雨が降り出だし深泥池対岸灰緑となる
うつらうつらと千年ほどが過ぎたのよ風にそよぎし竹たちが言ふ
美しく歳を取りたいと言ふ人をアホかと思ひ寝るまへも思ふ
河野裕子「母系」
なお河野裕子さんの「母系」は第43回迢空賞受賞作。(石川不二子さんと同時受賞)「短歌」で読んだのはその「抄」だが、どれもこころに沁みるいい歌だった。「アホかと思う」はいいなあ。そうだよねえ。(笑)
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コメント
「アホかと思ひ」、私も同感。これは「バカ」ではニュアンスが変わってしまいますね。
「寝るまへも思ふ」、ここに繋げたのがおもしろい。
寝る前、というのは、ひょっとしてアホだと思いながらも、やっぱりちょっと着になっていて、最終的にアホやと落ち着いたのでしょう。
投稿: 水夫清 | 2009/06/11 12:42
寝るまへも思う、がやはりよく利いていますね。
そういえばこの歌を思い出した。
老醜はありて老美は辞書になしあはれなるかなや老といふもの
大吾法利雄
投稿: かわうそ亭 | 2009/06/11 23:03
人間の構成はおおざっぱに言って、体と心。
老いれば体はみすぼらしくなるのは誰しも同じこと。
美しさは心で勝負、ということになりますな。
投稿: 水夫清 | 2009/06/12 09:40