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2009/07/17

義仲はこれ天の使

本年4月8日の拙ブログに「菜の花と桜の寺」という記事を書きました。(こちら
そのときに、九条兼実(後法性寺殿)と近衛基通(普賢寺殿)との関係について簡単にふれましたが、『イロニアの大和』(川村二郎/講談社)にこんな話が。

九条兼実の日記『玉葉』、寿永ニ年十一月十九日の項に、法住持合戦の顛末が記されている。義仲軍が勝って後白河を五条東洞院に押しこめたことを述べた上で、「夢か夢に非ざるか、魂魄退散、万事不覚、およそ漢家本朝天下之乱逆、其の数有りと雖も、未だ今度の乱の如きは有らず」
と嘆いている。義仲の暴虐を怒っているのだと思って読み進むと、直後に異様な一句が続く。
「義仲はこれ天の不徳の君を誡むる使なり。その身滅亡、又以て忽然か。」
つまり後白河が悪いから、義仲を使って天が罰を下したというのだ。
(中略)
後白河はかねがね摂政の藤原基通に思いをかけていたが、この七月頃から「御艶気あり」(欲望が昂進して?)、七月廿日頃「御本意を遂げられ」たという。
「君臣合体の儀、これを以て至極となすべきか」
とある。兼実は基通と反目しているから言い方に刺があるのは尤もながら、「君臣合体」とはいみじくもいったるものかなと感じ入る。いずれにせよ、後白河が個人的な「愛念」に動かされて国の大事を恣意的に決定する、そのことを罰する天の使いが義仲なのである。

『イロニアの大和』は「群像」2002年6月号から2003年9月号まで16回の連載をまとめたもの。保田與重郎論としての大和紀行といった趣の本だがひじょうに面白い。

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コメント

義仲はこれ天の不徳の君を誡むる使なり

 ここだけ読んで、兼実は義仲の味方、あるいは正当な評価者と誤解する人がいる。
 兼実は右大臣という肩書きではあるが、この頃平家や後白河法皇と意見が合わず、権力中枢から遠ざけられていた。

 義仲が義経軍に討たれると「天は逆賊を罰した」と断定している。
 あるいは後日、義仲や義経を回顧する場面では「義仲の乱逆」とか、「義経の反逆」などと書いている。

参照
詳細は「朝日将軍木曽義仲洛中日記」
http://homepage2.nifty.com/yosinaka/
http://www.geocities.jp/qyf04331/

投稿: 義仲弁護人 | 2009/07/27 20:09

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