TPPについて語る時にやつらの語ること(中)
TPPの推進派は、おれたちは農業を見捨てるんじゃない、強くしてやりたいんだと言い、反対派は農民エゴでごねてるんじゃないんだ、農業以外も心配なんだと言う、というのが前回のオハナシ。
しかし、わたしのみるところ、この問題についての推進派の、農業だって大規模化すれば関税撤廃してもやっていける(はずだ)というのは、ほんとにそう思っているならバカだし、わかって言っているなら汚いウソであります。これについては、同じ推進派であっても大前研一氏の言うことのほうがよほど正直である。(「TPP農業問題」を解決するただ一つの道/プレジデント 2011年1.31号)
こちらも端折って要点を転記する。
そもそも日本の国土が農業に向いていないという問題もある。日本は国土の90%が山地であると中学時代に習ったはずだ。私はかねてから「農業は世界の最適地でやるべき」と主張してきた。
ある農業最適地に日本の農家の人を連れて行ったことがある。見渡す限りの広大な土地に、考えられないほどの少人数で大々的に機械化された農業を営んでいる姿を見て、彼らは感動のあまり涙を流していた。
そうした大規模農業と比べたら日本の農業など家庭菜園のようなもの。生産性は比較にならない。たとえば日本で「1キロ500円」でつくっているコシヒカリが、オーストラリアでは「1キロ25円」ほどで生産できるのだ。
TPPに参加すればこうした国々とハンディなしの“対等な土俵”に立たされるわけで、高齢化問題を云々する以前に勝負ありとなる。要するにTPPをやるということは、日本は「農業最適地から輸入する国になる」ということなのだ。
TPPに入って日本は通商国家として引き続き繁栄を勝ち取ろうぜ、そのかわりに、もう農業は日本からなくなるけど、いいじゃん、食糧なんてよそから買えばいいんだから、と率直に言っているのである。
よその国が売ってくれなくなったらって、心配なんかしたって意味ないって、そもそも石油がなきゃコメだって作れないんだから、と大前研一の意見は続き、農業をやりたい奴は海外の農業最適地に行ってやりゃいいじゃん、国もそういうやる気のある奴を支援してやんなよ、てなところまで行っちゃうのですが(石原莞爾かあんたは(笑))、少なくともこっちのほうが「大規模化で強い農業」にすればいいなんておとぎばなしよりは正直だと思う。
(以下次号)
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