北村薫の「円紫さんと私」シリーズ
注文している本が届かず手元に読む本がなくなったので、しかたなく敵の本棚を偵察して、手頃な通勤の友を借り出す。
選んだのは北村薫の「円紫さんと私」シリーズ。
デビュー作の『空飛ぶ馬』の初出が1989年で、いちおうこのシリーズのラストと思われる『朝霧』が1998年ということなので10年がかりの作品群だが、わたしは読むのはこれがはじめてだった。
北村薫の本は『詩歌の待ち伏せ』の上下巻と『続・詩歌の待ち伏せ』を以前読んだことがあるので、はじめての作家ではないが、本業のミステリ小説のほうまでは手がまわらなかったのであります。
五冊どれも面白いが、いちばん完成度が高いなあと感心したのは最後の『朝霧』に収録された三つの短編(「山眠る」「走り来るもの」「朝霧」)だ。ただし、この一冊だけ読めば十分かというと、やはりダメで、『空飛ぶ馬』『夜の蝉』『秋の花』『六の宮の姫君』と読み進めてきてはじめて良さがしみじみと身に染むのではないかと思う。
気に入ったのは、もうひとつあって、じつはカバーの絵である。
高野文子が描く「私」の成長がこうして並べてみるとなんとなく了解できるような気がするのであります。ショートカットの女の子が気になるという男心かな。剛力彩芽とかさ。(笑)
最後の雪かき長靴スタイルにはすこしずっこけるが、まあ、これはこれで「私」らしいのかもしれない。
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