« 追悼・丸谷才一4 | トップページ | 冬の日 »

2012/12/15

物売りいろいろ

定斎売橋一ぱいに通りけり

『芥川竜之介俳句集』(岩波文庫)を読んでいて、恥ずかしながら、この句の定斎売が分からなかった。句意を考えれば、天秤棒のようなものを横にかけて、両端に売り物を下げている物売りだというイメージはわかるのだが、田舎者なので、おそらくは江戸風物のような物売りはこの目で見たことがないのであります。

季語であることは見当がつくので歳時記をみるとちゃんと出ていました。

定斎売(三夏)じょうさいうり/定斎屋
豊臣秀吉の時代に泉州堺の薬種商の定斎が、明人の薬方を伝えたという煎じ薬が定斎である。夏の諸病に効くという。その定斎を薬櫃を左右にした天秤棒で担いながら売り歩くのが定斎売・定斎屋である。半纏・股引・手甲の姿で売り歩く。薬を「延命散」ともいった。現在では東京にも一人か二人と言われるほど過去のものになって、なつかしいもののひとつにされている。〔山田みづえ〕

引いたのは『カラー図版日本大歳時記』(講談社)で奥付によれば昭和58年11月18日第一刷発行とある。30年ほどまえに一人か二人であれば、いまは道楽でやってるいかさま以外には存在しない職種だろうなあ。櫃の引き出しについた取っ手の金具がかちゃかちゃ鳴って、知っているひとにはなつかしい記憶なのだそうである。

そういえば、時代劇やら落語にはこういう市井の物売りがたくさん出てくる。Wikipediaで「物売り」を引くと、こんな商売が並んでいた。まあ、いまでもいくつかは軽トラで音楽流しながらやってくるけれど。

蜆浅蜊売り : 「しじみーあさりー」
鰯売り : 「いわしこーいわしこー」
納豆売り : 「なっとー、なっとなっとうー、なっと」
豆腐売り : ラッパを使い「とーふー」と聞こえる様に吹いた。
定斎屋 : 昭和30年頃まで存在したといわれ、江戸時代の物売りそのままの装束で半纏(はんてん)を身にまとい、天秤棒で薬箱を両端に掛け担いで漢方薬を売っていた。また力強く一定の調子で歩いた為、薬箱と金具や天秤棒のぶつかり合う音が独特の音となり近隣に知らせた。
羅宇屋 : 煙管の羅宇と呼ばれる部分のヤニとりや交換をしていた。小型のボイラーを積みその蒸気で掃除をし、また蒸気の出口に羅宇を被せ蒸気機関車の警笛の様に「ぴー」という音を出して知らせた。
竿竹売 : 「さおやーさおだけー」
鋳掛屋
金魚売 : 売り声「きんぎょーえー、きんぎょー」
風鈴売
竹売

こんなサイトもありました。物売りの声のMP3。面白い。



|

« 追悼・丸谷才一4 | トップページ | 冬の日 »

d)俳句」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23898/56322662

この記事へのトラックバック一覧です: 物売りいろいろ:

« 追悼・丸谷才一4 | トップページ | 冬の日 »