畑の草引きは、人によっては退屈な仕事だったり、場合によっては苦役のようなものかも知れないが、わたしは結構これが好きである。手だけを無意識に動かしながら、考えごとができる時間だからだ。今日は、とある本で知ったこんな数学の問題を小一時間ばかり考えていた。専門的には、モンティ・ホール問題といい、数学おもしろ話の定番のひとつらしい。もしご存知でなければ、わたし同様に考えてみていただきたい。
こういう問題である。
いまあなたの目の前に、A・B・Cという三つのドアがあります。そのうちひとつはピカピカの新車の置かれた部屋のドアで、残るふたつはヤギがいる部屋のドアであります。
Let's make a deal というクイズ番組の司会者、モンティ・ホール氏があなたにどれかひとつ選ぶように言います。「中にあるのを差し上げますよ。さあどうぞ」
あなたがA・B・Cのドアのどれかを選んで指差した後で、モンティ氏は残りのふたつのうちヤギがいるのはどちらであるかを教えてくれます。たとえば、あなたがAのドアを指差したとすると、「ヤギがいるのはBですよ」(あるいは「ヤギがいるのはCですよ」)というふうに教えてくれるわけ。かならずヤギがいるほうのドアを教えることになっています。どっちもヤギの場合は、適当にどちらかを言うのね。
さて問題はこれからで、このあと、あなたはもういちどだけ選択を変更することができるというのですね。司会者はこんな風に問いかけます。「ヤギがいるのはBですよ。Aのままでいいですか?それともCに変更しますか?」
草引きをしながら、頭の中で考える。
ええと、最初に選んだ時点でAが新車である確率は三分の一だよな。そして司会者がハズレのドアはBだと教えてくれた時点で、新車はAかCのどちらかになるわけだから、確率は二分の一にあがるけど、それでもどっちが新車であるかはわからない。ということはどっちも確率は同じ二分の一。常に最初の選択のままでいくか、必ず変更するか、そのつどどっちにするか選ぶか、この三つの戦術があるが、そのどれが一番有利なのか?うーん、なんかへんだぞ・・・・
ということで、草引きしながら脳みそのなかでは解決できなかったので、書斎に帰ってから、おもむろに花札を取り出して実験してみました。100回くらいやってこの三つの戦術に差がでるかどうか実際にやってみようという原始的な方法。
ところが三枚の札のうち一枚を偶然に選んで、のこる二枚のうちハズレがどれかを知ってから、かならず変更するやり方を数回やって、「げげっ」と驚愕の真相に気付いてしまった。
花札でもトランプでもいいから、確率の実験をやってみてください。100回も試す必要はありません。ほんの数回で理解できる。(ここで読むのを中断して、実験するときっと楽しめます)
以下は、花札を使ったモンティ・ホール問題の簡単な解説。
2回目の選択のときにかならず変更するほうがなんと確率は二倍になります。
最初の選択を堅持した場合に、それが当たりである確率は約33パーセント。
逆に言うと最初の選択にもれたふたつの札に当たりがある確率は約67パーセントであります。(写真のパターンね)そして、その場合、ふたつのうちハズレの一枚は教えてもらえるので、常に機械的に選択を変更すれば67パーセントの確率で当たりを引き当てることができる。
直感で最初の選択堅持と思ったあなたはギャンブルはやめたほうがいいと思うよ。(笑)
ま、草引きしながら考えるようなことでもないけれど。
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