もの喰う虚子
折の蓋取れば圧されて柏餅蕗の薹の舌を逃げゆくにがさかな柴漬の悲しき小魚ばかりかな雑炊や後生大事といふことを焼芋がこぼれて田舎源氏かな水飯に味噌を落して濁しけり葛水にかきもち添へて出されけり枝豆を喰へば雨月の情あり奈良茶飯出来るに間あり藤の花七草に更に嫁菜を加へけり重の内暖にして柏餅鯖の旬即ちこれを食ひにけり落花生食ひつつ読むや罪と罰草餅をつまみ江山遥かなり麦飯もよし稗飯も辞退せずおでんやを立ち出でしより低唱すハンケチに雫をうけて枇杷すする失せてゆく目刺のにがみ酒ふくむ又例の寄せ鍋にてもいたすべしいかなごにまづ箸おろし母恋し見事なる生椎茸に岩魚添へ
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