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2013/11/21

Fair is foul, foul is fair

好きで始めた農業なので、あんまり悩みというようなものはないのだが、最近、すこし考え込むことがある。

野菜も見た目が10割なんだろうか、ということについてである。

たとえば、ここにふたつ白菜があるとする。どちらもしっかり巻いて中身がつまっており、新鮮な白菜だ。ただ一方は、すこしめくって中の葉をみると、小さな虫がたくさん付いている。もう片方は、虫はおろか、虫が食った痕跡さえない。

わたしでも、どっちか選べと言われたら、虫がいるのは避けると思う。だって「きたない」じゃないですか。ねえ。どうしたって「きれい」な方がいいと思うのは人情である。

ところが、わたしが実際に育てている白菜はちゃっかり虫がいるのですね。駄目じゃん。(笑)

というわけで、どうすれば虫のいない「きれい」な白菜がつくれるんでしょうか、と農業指導員に聞きますと、そりゃ、きちんと農薬をやらなきゃ、虫のいない白菜はまず無理よ、と言われます。

白菜だと、代表的な害虫はヨトウ、ハスモンヨトウ、ハイマダラノメイガ、アオムシ、コナガ、カブラハバチなんてのがつくのですが、それぞれ(全部に共通じゃありませんよ)に対して、いろんな薬剤が指定されます。たとえばアオムシの防除であれば、いくつもありますが、これまたたとえばモスピラン水溶剤てえのを1000倍から2000倍の希釈で、10アールあたり100から300リットル噴霧します。
このあたり単位がわかりにくと思いますが、単純に計算すると1平米あたりにリポビタンDを1本から3本ぶっかけてくださいねという感じです。ただし農薬取締法によって規制されますから、使用できるのはこの農薬の場合、収穫の14日まえまでで限度は3回までになっています。いや、もちろんしなきゃいけないというわけじゃありませんよ。したくなきゃしないでよろしい。わたしはしない。だって、できればそんなの食べたくないもん。(笑)
あ、ただしわたし自身は、べつに農薬を頭から否定はしていません。念のため。

さて、それでは、もういちどお買い物をする立場で白菜を見ますというと、虫のぜんぜんついていない、ぴかぴかの完全無欠な「きれい」な白菜は、もしかしたら、何種類かの農薬を法定限度いっぱいかけられたものかもしれない。そして、虫のいっぱいついた「きたない」白菜は、まったく農薬をつかっていないものかもしれない。(もちろん農薬使ってしかも虫がいるという場合もありえますけど)

こうなると、考えれば考えるほど、どっちが「きれい」でどっちが「きたない」かわたしはわからなくなるんですよね。

農業指導員であれば、農家がきちんと生計を立てられるようにしてあげる仕事ですから、虫がついたような白菜は商品としての価値はありませんよと教えるわけです。じっさいに先に述べたように、わたし自身だって、「きれい」と「きたない」は直感的にきまっています。虫がいるのは「きたない」、いないのは「きれい」。

でも、はっと畑で作業をしてる百姓に戻ると、また違う気持ちをもちますね。
もしかすると「きれいはきたない。きたないはきれい」——なんてまるで『マクベス』の台詞みたいだなあ、なんて考え込みながら、畑仕事に精を出す今日この頃です。(笑)

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コメント

シェークスピアはさすがにうまこといいますねぇ。

矛盾や対立が世界のダイナミックスの根源だ、って言っていたのは、ヘーゲルの弁証法(?)だったような・・・。お後がよろしいようで。m(_ _)m

投稿: renqing | 2013/11/22 01:31

どうもどうも。
生育の初期のときに一回やるだけでもかなり違うから、自分ちで食べるならともかく、売るつもりなら、きちんと農薬をかけなさい、と言われております。虫がきらいな人なら「きゃあ!」てなもんでしょうし、なんとなく農薬がかかったのは嫌だなと思ってる人でも、実際に虫を見ればいい気はしないでしょうから、そうすべきなのかなあ、と悩んでるわけでございます。

投稿: かわうそ亭 | 2013/11/22 08:28

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