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2014/04/04

よしもとばなな『ジュージュー』

ときどき、よしもとばななを読みたくなるのは、もしかすると本の厚さが手頃だからかもしれない。あんまり分厚い本はめんどくさい。ただし、よしもとばななの本は、分量的には中編小説という感じだけど、読後感は意外に長編小説に近いものがあるような気がする。

本書『ジュージュー』もそうで、ちょっと前に読んだ『もしもし下北沢』なんかにも共通する、とんがってない、なにかゆるい感じが、妙に心地よい。すぐに読めてしまうわりに、充実した感じがあって好きだ。
下町のステーキとハンバーグの店〔ジュージュー〕のオハナシ。
よい食べ物屋さんというのは、有名なシェフが腕を振るってる、ということではなくても、気持ちよく食事ができれば十分だ。そこには、厨房の腕前と同じくらい給仕人のさりげない心遣いがものをいう。
店のすべてがきちんとしている、ということがまず大切で、客としてぞんざいな扱いを受けていると感じれば、二度と足を運ばない。年収の低い客は要らないと豪語するカリスマシェフの店で、賓客としてもてなされるのは気持ちがいいのかどうなのかは知らないが、そういう店をやってる人はいくら儲っても、あんまり食べ物屋さんとしての喜びはないかも知れない。まあ、行ったことがないから、よくわからないけど。

ところで本書の中に、夕子さんというかなり変わった人が脇役で登場するのだが、これがかなりぶっ飛んでいて笑った。
前世でビルマの「コブラにキスすることができる少女」を育てる学校にいたことがある、という語りなのだが、これはもう抱腹絶倒。
なので、あえて引用はやめておきます。ぜひ、ここのところだけでもご一読を。文庫版の95頁あたりから始まります。

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コメント

同感です。この本はよんだことないですが、疲れた時
よしもとばなな読んで癒されよ~と、思います。
この本早速読んでみます。

投稿: mimo | 2014/04/04 19:49

こんにちわ。これ、とってもよかったですよ。ぜひどうぞ。

投稿: かわうそ亭 | 2014/04/04 21:53

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