大統領の料理人
フランソワ・ミッテランはフランス大統領を14年にわたって務めた大物政治家。社会党の第一書記でもあり、当初は大企業の国有化政策を積極的に押し進めた社会主義者でありますね。
何回目かのサミットのとき、このミッテラン大統領がドイツのコール首相と、たまたまトイレで並んでおしっこをしたんだそうですな。するとコール首相がやたらに巨体をひねって、ナニを隠そうとする。
「ねえ、ヘルムート、なんでそんなに見られるのを嫌がるのかね?」
すると、コール首相がこう答えた。「いや、フランソワ、だってキミは大きなものを見るとすぐ国有化しようとするからね」
——というジョークとはなんの関係もありませんが、「大統領の料理人」という映画がとても面白かったので、ググってみたら、実話がベースで、この大統領はミッテランだったんだそうな。
映画では、大統領はエリゼ宮の、宮廷料理然とした豪華な料理に反発し、子供の頃に祖母が食べさせてくれたような素朴だが本物の家庭料理を求めている。古い料理本のレシピを暗唱できるほど、食に対するこだわりがつよく、秘書官が真っ青になり、将軍が激怒しても、分刻みのスケジュールのなかで、女料理人と食べ物の話で、予定を狂わせる。いやはや、フランス人てやつは・・・。(笑)
映画に出てくる料理がほんとうに美味そうでため息が出る。おすすめ。
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コメント
お久しぶりです。暫くは専業農家となって、ブログの方はあまりお書きにならなかったようですが、農業の方は如何なさいましたか?(余計なお世話でしたね!)
ミッテランの名前に、つい一言書き込みたくなりました。
フランスのかつての大統領にはなかなか優れた人物がいましたが、政策的には反対のディスカールデスタンと並んで、ミッテランは最も心惹かれる人物です。ミッテランが晩年を迎えて、自分の遺書ともいうべきものを書かせる人物に、若いながらこれまで自分にはとかく批判的であったジャーナリスト(フランツ・オリヴィエ・ジズベール)を選び、彼を田舎の家に招いて自由にインビューさせます。ジズベールは老獪なミッテランに丸め込まれぬように細心の用心をし、客観的な記事を書こうと心して接しますが、次第にその魅力に惹きこまれ、ついには(心ならずも籠絡されて!)ミッテランのオマージュを書く羽目になる。その経緯を記した『神なき死』という一冊は、永く心に残るものです。
基督者ではないミッテランに、同じ非クリスチャンの私ももう死に向けて心の準備を始めなければならないときに読んだという、そのことも大きな要因ではありましたがー。
投稿: 我善坊 | 2014/05/11 12:28
我善坊さん
お久しぶりです。気持ちは十分に専業農家なんですが、カミサンに言わせるとと、うちは「なんちゃって農家」なんだそうです。(笑)まあ、なんとか暮らしております。
それにしても、いつもながら我善坊さんには、「おお、これは読まねば」という感じで知らない本をご紹介いただきありがたいです。図書検索すると利用している図書館には残念ながら『神なき死』はなかったので、ネットの古本屋で早速注文いたしました。
投稿: かわうそ亭 | 2014/05/11 22:59