タブッキ、マンローほか
年々、本を読まなくなる。
読むのはもっぱら図書館の本だが、2週間の借り出し期間に、せいぜい3冊か4冊かというていらく。読み切れずに借り出し延長することもしばしばだ。
少ないなりに、なかには面白い本もときどきあるのだが、いちいち感想めいた文章をブログに載せるのも、なにかいまさら、という気持ちがつよく、それきりになってしまうことが多い。
まとまった文章を書くのはめんどくさいが、せっかくだから読んだ本をメモ代わりにここに書いておくことにする。図書館のローテーションである直近2週間に読んだ本、という内容です。
『海の仙人』絲山秋子(新潮社/2004)
最近のお気に入りの作家。なまぐさくない男と女の友情めいた関係というのが、この人のモチーフのひとつのようだが、そういう人間関係自体に、あんまりリアリティは感じない。悪くはないのだけれどね。
『寝る前5分のモンテーニュ「エセー」入門』アントワーヌ・コンパニョン(白水社/2014)
もともとはフランスのラジオ番組の台本。訳は本文が山下浩嗣、エセーの原文が宮下志朗。宮下訳の『エセー』は全7巻のうち、たしか5巻まで刊行されているはずだが、残念ながらこちらの図書館には在架していない。奈良県立図書情報館を使っていた頃に3巻までは読んだ。4、5巻を読みたいがよその図書館から取り寄せてもらうか。
『善き女の愛』アリス・マンロー/小竹由美子訳(新潮社/2014)
オープンエンドという小説の手法がどうも苦手で、ええい白黒はっきりつけてくれ、という単純読者なので、正直なところこの手のブンガクはあんまり好みではない。しかしたまに高級な短編小説を読みたくなる。(著者は2013のノーベル文学賞)「善き女の愛」「ジャカルタ」「コルテス島」「セイヴ・ザ・リーパー」「子供たちは渡さない」「腐るほど金持ち」「変化が起こるまえ」「母の夢」の8篇。表題作はオー・ヘンリー賞受賞作だが、いまひとつぴんとこないな。まあ、雰囲気はあるけど。
『イザベルに ある曼荼羅』アントニオ・タブッキ/和田忠彦訳(河出書房新社/2015)
今回の4冊の中では、これがいちばんよかったな。この作家は『さかさまゲーム』『インド夜想曲』『島とクジラと女をめぐる断片』などを読んだことがあるけれど、これまた記憶に残りそうな作品。タブッキは2012年に亡くなっていたらしい。本書は死後の刊行。
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