エセーほか
いつも利用している宇部市立図書館は持っていないので、司書に頼んで、山口市立小郡図書館から借り受けてもらった本。宮下訳の1卷から3卷までは、在阪時代にやはり図書館で新刊が出るたびに借りて読んでいた。4卷はエセーで最長の章である「レーモン・スボンの弁護」。エセー全訳という仕事の中で、いちばんの難所(「とにかく長い。いや、いくらなんでも長すぎる」)と訳者のあとがきにあるが、読む方も同様。途中でなんども投げ出そうと思ったが、せっかく取り寄せてもらった手前、我慢して通読する。現代人にとって理性と神の存在なんて、イスラム国でもなければあんまりアクチュアルな問題ではないが、宗教戦争たけなわのフランスやイギリスではこれがいちばん重要な問題だったんだな。まあ、チューダー朝の時代のフランス側の知性の代表としてとりあえず読みました、というところ。
「ブーリン家の姉妹」「エリザベス」「エリザベス・ゴールデンエイジ」といったコスチューム・ドラマをDVDで見直して、本書を眺めると、ああ、これはこの図像から取ったのか、というような発見がたくさんある。たとえば、メアリー治世末期のプロテスタントの火刑とか、ロバート・ダドリーがエリザベスをダンスで持ち上げるシーンとか、メアリ・スチュアートの処刑シーンの深紅のペチコートなど。
同じ中国系作家としてテッド・チャンにからんで、この作家の情報は目にしたことがあったが、はじめてその作品を読んだ。すこしムラもあるようだが、出来のいい作品は見事にわたしのツボにハマるなあ。古沢訳は信頼して読める。「紙の動物園」「もののあはれ」「月へ」「結縄」「太平洋横断海底トンネル小史」「潮汐」「選別宇宙種族の本づくり習性」「心智五行」「どこかまったく別の場所でトナカイの大群が」「円弧(アーク)」「波」「1ビットのエラー」「愛のアルゴリズム」「文字占い師」「良い狩りを」
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