この間に読んだ本。
『漱石さんの俳句 私の好きな五十選』大高翔(実業之日本社/2006)
著者のことをまったく知らなかったので、三分の一くらい読んでようやく女であることに気づいた。てっきり大学生くらいの若い男だと思って読んでいたのでありますね。(2000年から4年間、NHK俳句王国の司会者)で、それまでいちいち漱石の俳句の鑑賞の最後に自分の句をもってきて締める形式に、「おいおい」と呆れていたのだが、女だとわかってからは、なんだか、「うん、こういうのもアリじゃない」なんて思うようになった。これもやはりジェンダーがどうしたこうしたという話になるんかなあ。
『シャイニング(上下)』スティーヴン・キング/深町眞理子訳(文春文庫)
いつも利用する図書館の新着本の棚にキングの新刊『ドクター・スリープ』があったので、ラッキーと手に取って、ちらりと訳者のあとがきを見たら、もし読んでなかったら、まず『シャイニング』を読んでから取り掛かったほうがいいよ、という意味のことが書いてあり、さらにご丁寧に、映画のシャイニングは小説と内容が違うので、映画見てるからいいわな、というのはダメよ的なことがゴシック体で強調してありました。まるでこちらの不心得を見透かしたような白石朗さんのだめ押し。(笑)仕方がないので、ネットの古書店で注文。たしかにキューブリックの映像イメージ(破ったドアから顔を出すジャック・ニコルソン!)が強すぎて、そもそもあれがどんなストーリーであったのか、ぜんぜん覚えていなかったな。もちろん面白いけど、深夜に読んでいて、ふとあたりの静寂に気づいてゾッとするなんて感じではない。むかしのキング作品では『ペット・セマタリー』とか『トミーノッカーズ』なんてのがひしひしと怖くてよかったが。それとも、たんに老けてこちらの感受性が鈍磨したのか。
『ドクター・スリープ(上下)』スティーヴン・キング/白石朗訳(文藝春秋/2015)
というわけで、本書は『シャイニング』の続編として構想された小説で、意外なことに、キングにはこういう続編として書かれた作品はいまのところ他にはないらしい。たしかに同じ架空の町や登場人物が互いにリンクしている作品はキングにはたくさんあるけれど、きちんと完結した作品の続編というのはないのかもしれない。本書の主人公は『シャイニング』では5歳だったダニーである。大人になったダニーは、いまはダンと名乗っている。アル中の父親にあんな目にあわされた幼子が、あろうことか、酒の誘惑に負けて、身を持ち崩していることがあきらかになって・・・。
最近は寝床に本を持っていくと、たいてい2ページくらいで眠り込んでしまうのだが、さすがにキングの小説だと、300ページくらいは一気に読んでしまうなあ。ああ、面白かった。
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