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2015/10/19

see haiku here

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俳画アーティストの清水国治さんから俳画集を二冊ご恵贈いただいた。
『清水国治 俳画集』と『松尾芭蕉+清水国治 俳画集』。
前者のなかに収録された俳文にもあるが、清水さんは多感な少年時代にハワイに行かれた方で、日本語と英語の二つの言語で表現をされる。バイリンガルの俳人というのは貴重な存在だ。詳しいわけではないが、ウェブ上で世界俳句協会の関連サイトを見ると必ずそのお名前を見つけることができる。したがって、この俳画集の俳句、俳文も日本語と英語が併記されている。芭蕉の句は、許可を得てドナルド・キーンの英訳である。

俳句にはいくつかの約束がある。五七五の韻律、切れ、季題など。俳句を詠まない人はそれを制約と見るだろうし、俳句を詠む人は、これらの約束をむしろ詩境を導く枠組みと見る。とはいうものの、俳句を作る人にとっても、なんせこの世界にはセンセーがやたら多くて、なにかというと煩いことを言うので、だんだん窮屈に感じているのではないか。だから俳句を、haiku として表現された短詩を読むのは、そういう窮屈さを取っ払った爽快感がある。本書の楽しさはそういうところにありそうだ。

本のほうはオンデマンドで印刷製本されたようだが、そうと聞かなければわからないだろう。たいへん美しい仕上がりである。清水さんのアートワークは、おそらくコンピュータを駆使するものだと思うので、こういう本作りと相性がいいのかもしれない。
個人的な意見だが、俳画というのは、これくらいのサイズとボリュームで眺めるのが心地よい。あんまり大きすぎたり、重かったりすると、よそ行きの畏まった感じになるが、俳画というのはもともと人間の普段の暮らしの中に溶け込んだ軽みのあるものだったのではないか。

お行儀が悪くて著者には申し訳ないが、カウチに寝そべって、haikuと俳句を代わる代わる読んではイメージを眺める。幼い子供が絵本のページを繰るような読み方が楽しい。

清水さんの俳画の実例は、こちらのブログで見ることができます。

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コメント

ご論評much感謝。「絵本」が、まさしく私の目指すところです。

投稿: シミズクニハル | 2015/10/19 21:41

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