7)映画・テレビ

2008/05/06

つぐない

Atenment 午前中仕事があったので、テキトーにすませて、茶屋町の蕎麦屋で鴨せいろを食べて、ロフト地下のテアトル梅田で「つぐない」を見る。
たまたま両隣がわたしと同年輩の(すなわちややご年配の)ご婦人。どちらも途中から肩をふるわせながら必死に涙をこらえておられましたが、ついにラストで盛大な歔欷となりました。いや、まあ人のことは言えない。わたしも、ラストでなにが明かされるかちゃんと知っているにもかかわらず、おもわず泣いてしまった。

というわけで、わが愛する『贖罪』の映画化ですが、結論から言うと、これはよかった。原作の細かなところをきちんと映像化してみせてくれた。小賢しいブンガク的な表現で小説と張り合ってみせるようなバカをやっていない。監督のジョー・ライトは「プライドと偏見」もよかったけれど、この「つぐない」はたいへんすぐれた娯楽映画として楽しめる。わたしは、ゲージツ映画は嫌いなので、こういう明暗くっきりとしたドラマは大好きであります。

ブライオニーを3人の女優が、13歳(シアーシャ・ローナン)、18歳(ロモーラ・ガライ)、老女(ヴァネッサ・レッドグレイブ)と演じているのだが、どの年代のブライオニーも捨てがたい。なんの説明もないにもかかわらず、18歳のパートになったとたんに、それまでの5年の歳月の意味がなんであったのか、ブライオニーの抑制された表情によって観客に伝わる。

もうひとつ、驚いたのは、ボビーがたどりつくダンケルクの場面。なんとこのシークエンス、延々とステディカムで撮っていくのですが、信じられないことにほとんどワンテイクの長まわしである。(パンフレットの解説によれば3テイクだとか)
この箇所は、もちろん意識的なものですから、きちんと意味を考える必要がある。つまりこれは、この情景を「見ている」目が瞬きもせず、じっと精魂をかけて注視していることを表しています。だれが見ているのかは、原作を読んだ人にはわかっていますし、映画を見終えた観客もできればこのシーンをもういちどふりかえる値打ちがあるでしょうね。

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2008/05/01

4月に見た映画

ザ・シューター/極大射程   
監督:アントワーン・フークア
出演:マーク・ウォールバーグ、マイケル・ペーニャ、ダニー・グローヴァー、ケイト・マーラ

ファクトリー・ガール
監督:ジョージ・ヒッケンルーパー
出演:シエナ・ミラー 、 ガイ・ピアース 、 ヘイデン・クリステンセン

アルゼンチンババア
監督:長尾直樹
出演:堀北真希、鈴木京香、役所広司、森下愛子、手塚理美、田中直樹

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2008/04/27

ファクトリー・ガール

ボヘミアンとは、ものの本によれば、ブルジョワがびくついてやれないことを堂々とやっちゃう連中である。その通りですね、とアンディ・ウォーホルは言い、もう一言、うまい台詞をつけ加えた。ブルジョワ風に見られるのを恐がることこそ、一番ブルジョワ的です。かくしてかれはボタンダウンのシャツを着た。ストライプのタイを締め、仕立てのちょっと悪いツィードのジャケットをはおったその姿で街を闊歩した。まるで医学生の卵で、いかにもブルジョワ的だった。
しかしウォーホルの本当の快挙はこれではない。身も心も貧相な昔ながらのボヘミアンどもを仰天させたのは、ウォーホルが「ヴィレッジ・ヴォイス」紙に載せた広告だった。どんなものにでも署名しましょう。・・・・どんなものであれ即座にウォーホルの作品にして差しあげましょう・・・・ただしお金をくださいね。私の電話番号は・・・・。ボヘミアンどもはこれには腰を抜かした。
『そしてみんな軽くなった』トム・ウルフ

はじめは自分の好悪はストレートにあらわす。だが、やがて、そういうのはベタだぜ、てなことになって、わざと価値観を反転させて相手の裏をかくようになる。だが、そういうのがクールだとみんなが真似をしはじめるもんだから、裏の裏をかきたくなるのだが、そうすると相手がよほど見る目がないと、一番最初の洗練されていない時代の美意識を表出しているやつになってしまう。
わたくしは、これを「三重スパイから先は意味がない」と呼ぶことにしております。スパイさん本人も、もう、わけがわからなくなっちゃう。アメリカのスパイのふりをした中国のスパイ、のふりをしたアメリカのスパイ、っていったいどんな意味があるのだ。(笑)

ウォーホルのことを考えると、はたしてこの人は俗物なのか、俗物のふりをしたアーチストなのか、俗物のふりをしたアーチストのふりをした俗物なのか、頭がこんがらがっちゃう。だから、これはもう「三重スパイから先は意味がない」と同じことになるのであります。

2445722484_e516478d4c 映画「ファクトリー・ガール」は、ウォーホルとイーディ・セジウィックとボブ・ディランという1960年代のイコンをリアルに映像としてよみがえらせた豪勢な作品だった。映画のストーリーはあまり買わないが(なにしろあれではボブ・ディランだけがいいやつすぎる。たぶんディランはまだ生きていて、あとの二人は死んでしまったからこういうオハナシになったんだろうね)映像をみるだけでわたしはなんだか、じんとなっちゃったね。ずっとあとを引く映画ですな、これは。

この映画ではボブ・ディランはウォーホルを「王様は裸だ」とばかりに、俗物あつかいするけれど、やはりそういうのってあまり意味がないんだと、思うなあ。
このディランとウォーホルの「対決」シーンで、セジウィックを演じたシエナ・ミラーが最高だったね。期待から不安へ、怯えから絶望へとかわっていく目のうごきは、痛々しいけれど、しかしわたしたちの実人生でもやはりああいうことってあるようなあ、と深い同情と共感を誘うものだったと思う。
映画を見終わって家に帰って、ディランの「Just like a woman」を何度も聴いた。ああ、これはそういう歌だったんだと、やっとわかった。
歌の最後はこうだ。

But you break just like a little girl.

泣ける。

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2008/03/01

2月に見た映画

めがね
監督・脚本:荻上直子
出演:小林聡美、市川実日子、加瀬亮、光石研、もたいまさこ、薬師丸ひろ子

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2008/02/20

めがね

Screencapture1

近所のシネマで「めがね」を見る。
先日(2月16日)のベルリン国際映画賞でザルツゲーバー賞をとったそうであります。

わたしは、大企業や広告代理店がからんだロハスだとかスローライフだとかいうごたくが好きではありません。そういうたぐいのCMや広告を見るたびに「けっ」と思うような人間ですので、この映画についても、率直に言えばずいぶんと辛辣な感想も抱くのではありますが、まあ、わざわざそんな人のいやがるようなことを書いても仕方がない。
気に入ったところを書きましょう。

荻上直子監督の前作「かもめ食堂」の成功の要素のひとつは、ふだんのわたしたちの食べ物—おにぎりやしゃけや豚の生姜焼きなどを、いかにも自然においしそうにクローズアップでスクリーンに映し出して見せた手柄だと思います。こんなふうに、なんでもないように撮るのは、ほんとうはすごくむつかしいはずなんですね。

Screencapture_2 「めがね」では、これをさらに洗練させたかたちで見せています。お昼時のちょうどおなかが空いた頃の時間帯に見たものだから、よけいお惣菜がおいしそうに見えました。大きな伊勢エビをひとりひとりが一匹まるごと、ばきばきと折りながら豪快に食べるシーンもよかったのですが、いちばん参ったのは、梅干しですね。生唾がわいて、わいて。(笑)
Screencapture
もたいまさこは「かもめ食堂」のマサコさんをそのまま持ち込んだような演技で、それがいささかやり過ぎの感があって、ちょっといただけなかったのですが、今回は市川実日子と加瀬亮が映画を救っていましたね。このふたりがいなかったら、この作品の印象はまたかなり違った感じのものになっていただろうと思う。

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2008/02/01

1月に見た映画

スモーキン・エース
監督:ジョー・カーナハン
出演:ライアン・レイノルズ、アリシア・キーズ 、レイ・リオッタ、ジェレミー・ピヴェン、コモン、ベン・アフレック、アンディ・ガルシア

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2008/01/06

12月に見た映画

逆境ナイン
監督:羽住英一郎
出演:堀北真希、玉山鉄二、田中直樹

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2007/12/01

11月に見た映画

ゴースト・ライダー
監督:マーク・スティーヴン・ジョンソン
出演:ニコラス・ケイジ、エヴァ・メンデス、ピーター・フォンダ

ボーン・アルティメイタム
監督:ポール・グリーングラス
出演:マット・デイモン、ジュリア・スタイルズ、エドガー・ラミレス、ジョーン・アレン

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2007/11/01

10月に見た映画

恋は五・七・五!(2005)
監督:荻上直子
出演:関めぐみ、小林きな子、蓮沼茜、もたいまさこ、杉本哲太
俳句監修:夏井いつき

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2007/10/01

9月に見た映画

マルクス兄弟 オペラの夜
監督:サム・ウッド
出演:グルーチョ・マルクス、チコ・マルクス、ハーボ・マルクス、アラン・ジョーンズ、キティ・カーラル

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2007/09/01

8月に見た映画

ケリー・ザ・ギャング(2003)
監督:グレゴール・ジョーダン
出演:ヒース・レジャー、オーランド・ブルーム、ジェフリー・ラッシュ、ナオミ・ワッツ

グローリー・ロード(2006)
監督:ジェームズ・ガートナー
出演:ジョシュ・ルーカス 、デレク・ルーク、ジョン・ヴォイト

リトル・ミス・サンシャイン (2006)
監督:ジョナサン・デイトン 、ヴァレリー・ファリス
出演:グレッグ・キニア 、トニ・コレット 、スティーヴ・カレル 、アラン・アーキン 、ポール・ダノ 、アビゲイル・ブレスリン

オーシャンズ13(2007)
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ジョージ・クルーニー 、ブラッド・ピット 、マット・デイモン 、アンディ・ガルシア 、ドン・チードル 、エレン・バーキン 、アル・パチーノ 、エリオット・グールド

フラガール(2006)
監督:李相日
出演:蒼井優、松雪泰子、豊川悦司、山崎静代、岸部一徳、富司純子

アークエンジェル(2005)
監督:ジョン・ジョーンズ
出演:ダニエル・クレイグ 、エカテリーナ・レドニコワ

アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵 (2005/フランス)
監督:パスカル・トマ
出演:カトリーヌ・フロ 、アンドレ・デュソリエ 、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド

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2007/08/01

7月に見た映画

シャイニング
製作・監督:スタンリー・キューブリック
脚本:ディアン・ジョンスン
出演:ジャック・ニコルソン、シェリー・デュバル、ダニー・ロイド、スキャットマン・クローザース

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2007/07/01

6月に見た映画

プレステージ(アメリカ/2007)
監督・脚本:クリストファー・ノーラン
出演:ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンソン、デヴィッド・ボウイ

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2007/06/01

5月に見た映画

スモーク・シグナルズ(アメリカ/1998)
監督:クリス・エア
出演:アダム・ビーチ、エバン・アダムス、ゲイリー・ファーマー、アイリーン・ベダード 

アラバマ物語(1962/アメリカ)
監督:ロバート・マリガン
出演:グレゴリー・ペック、メリー・バーダム、フィリップ・アルフォード、ロバート・デュバル

薬指の標本(2004/フランス)
監督:ディアーヌ・ベルトラン
出演:オルガ・キュリレンコ 、マルク・バルベ

舞台より素敵な生活(2006/アメリカ)
監督・脚本:マイケル・カレスニコ
出演:ケネス・プラナー、ロビン・ライト・ペン、スージー・ホフリヒター

パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド(アメリカ/2007)
監督:ゴア・ヴァービンスキー
出演:ジョニー・デップ、キーラ・ナイトレイ、オーランド・ブルーム、ジェフリー・ラッシュ

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2007/05/12

安楽椅子探偵の女王蜂

ちょっと前にNHKの衛星映画劇場で市川崑の金田一シリーズをやっていたのでご覧になった方も多いだろう。
今回放映したのは「犬神家の一族」(1976)「悪魔の手鞠唄」(1977)「獄門島」(1977)「女王蜂」(1978)「病院坂の首縊りの家」(1979)の5本。
こうして製作年度を並べてみると懐かしい。この頃はレンタルビデオやDVDなんてものはなかったから、よく映画館に足を運んだものである。

一番はじめに読んだせいかもしれないが、横溝正史の金田一シリーズで、わたしが一番いいと思うのは『悪魔の手鞠唄』であり、市川監督のシリーズの中でもこれが一番いいような気がする。
まあ、これは好き好きだとは思うけれど。

ところで、今回の放送で女王蜂をあらためてじっくり見たのだが、しばらくしてから、登場人物のある設定がちょっと気になった。―といっても、べつにたいしたことではない。多少、ネタバレに近い話題になるが、あの映画に東小路公爵家という京都の華族が登場しますね。映画ではたしかこの東小路家は御一新の前は北陸の大名家であったということになっていたかと思う。犯人はこの東小路家に対して深い恨みを抱いていたことが大団円で明らかにされるわけですが、それを象徴するかのようにフラッシュバックで挿入される冬の暗い日本海の情景がなかなかよかった。

気になったのは、この東小路家というのはもしかしてモデルがあるのではないかなということでありました。ただし映画のような卑劣な出来事が実際にあったとかなんとかそういうことを考えたわけではない。単純に北陸の大名で維新後に伯爵になったような人があったことをたまたま別の本で知ったために、ああ、もしかしてこれを使ったのかなと思ったというわけ。

以下は、水上勉の『日本の風景を歩く/京都』(河出書房新社)の「あとがき」から。

京都の禅宗では小僧を入れるのに、若狭の子で、一年生の時「酒井家賞」をもらった子の中からえらぶ風習があって、私はその年の該当者だったにすぎない。貧乏人の子でも、もらった以上は本山は中学を卒業させるつもりであったから、読み書きのできる子をはかるのに「酒井家賞」は目安になったといわねばならない。酒井家とは若狭藩の旧藩主で、牛込矢来町に当時講正学舍をもち、大学へも入れてくれることで、若狭の子らの学業を援助した。私はその「酒井家賞」をもらった縁から京都相国寺の塔頭瑞春院の小僧になれたのである。

水上勉の文章では若狭藩主となっていますが、これはどうやら若狭小浜藩主の酒井家のことだと思われ、この酒井家は明治になって伯爵家のひとつになっていますので、映画の東小路家の設定にも符合します。映画の中で金田一耕助が遠い過去の悲劇を調べるために赴いたのは、若狭だったように思うのですが(ここはあまり自信がないけど、わざわざDVDを借りてきて調べるほどの気力はないので、違っているかもしれない)そうであれば映画の東小路家のヒントになったのは、これではあるまいかと思ったのですね。
もうひとつ、映画のなかでもこの伯爵家は地元の貧乏な学生を金銭面で支援してやっていたような感じがあってその面でも水上勉の「酒井家賞」とうまくつながるような気がします。

さて、ではこの東小路公爵家が北陸のとある藩の旧藩主である(あるいははっきりとこれが若狭小浜藩であると特定されていたかどうかはっきり覚えていないのですが)という映画の設定がいささか気になったわたしは、本屋に行って『女王蜂』をざっと斜め読みしたのですね。(買えよ(笑))原作の中に具体的な地名が書かれているだろうかと思って調べたわけであります。
ところが、ざっとあたった限りでは、この犯人が東小路家の過去に遡る遺恨を抱いていたという設定は見当たらない。ちなみに原作では東小路伯爵家ではなくて、衣笠宮という皇族の設定になっていますな。
この小説、わたしは若い頃に読んでいますが、映画は原作の通りだという風に思い込んでいたので少し虚をつかれました。

そして、ここからがわたしの安楽椅子探偵としての推理なのですが、もしこの設定が映画のオリジナルだとしたら(どうもそのように思えます)そのアイデアの元ネタはもしかして水上勉の作品群にあるのではないか。
ということで市川崑と水上勉との接点はないか、早速調べてみました。以下は映画化された水上作品リストです。監督と主演女優のみ。(こういうときにインターネットは便利である)

 五番町夕霧楼/田坂具隆/佐久間良子
 雁の寺/川島雄三/若尾文子
 はなれ瞽女おりん/篠田正浩/岩下志麻
 飢餓海峡/内田吐夢/左幸子

いやあ残念ながら市川崑は一本もメガホンをとっていませんね。しかし、これだけ映画化されていれば映画人として市川崑も水上作品に無関心ではなかったのではないか。まして市川崑には三島由紀夫の『金閣寺』を映画化した「炎上」がありますからね。水上勉のことはよく調べたに決まっていると思うのですがどんなもんでしょう。

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2007/05/02

To Kill A Mockingbird

ペーパーバック版の『To Kill A Mockingbird』Harper Lee(Warner Books)を読む。
あえて日本語にすれば「マネシツグミを殺すのは」といった感じのタイトルだが、邦題は「アラバマ物語」であります。グレゴリー・ペックがアカデミー主演男優賞をとった映画の方が通じやすいかもしれない。
この映画のことは、「capote」の感想を書いたときに、見ていないと書いたのだが本書の法廷の場面を読んでいるうちに、中学生だか高校生の頃にテレビで見たことがあることを思い出した。まあ、いわゆる名作だから、それと意識しなくともどこかで見ているということなのだろう。

481062752_be3a218f0c じつはもともと本書を手に取ったのも、映画「capote」を見たことに端を発している。『冷血』の取材でカポーティがカンザスに赴いたときにその取材の助手をつとめたのがハーパー・リーである。カポーティとリーは幼なじみであったのですね。
本書のなかでは、カポーティはディルという名前で登場する。リーの方は、愛称がスカウトとなっている。このふたりは6歳の頃に出会うのだが、どちらもやたら賢い子どもで(まあそれはそうだろう)幼心にふたりは結婚の約束を交わすのであります。
もしも映画「capote」を見るまえに、この『To Kill A Mockingbird』をすでに読んでいたら、あのふたりの心の結びつきや、そして反目も、さらに陰影のふかい演技として味わうことができただろうと思ってちょっと残念である。まあ、そのうちDVDでもういちど見てみよう。

本書の初版は1960年。翌年にピュリッツアーを受賞している。ベストセラーであるとともにいまでも推薦図書に選ばれる(それに値する)ロングセラーでもある。
わたしはどちらかと言えばシニカルなものの見方をする人間だが、本書は「買い」である。

1930年代の南部の田舎町、小学校で教師はヒットラーがユダヤ人を迫害していると非難する。ドイツは独裁制です、わかりますか?わたしたちアメリカはデモクラシーです。デモクラシーとは何でしょう、はい、わかる人?
主人公のスカウトが手を上げる。前に父親のアッティカスがこんなふうに言っていた。

Equal rights for all, special priviledges for none.

たいへん、よろしい。そうです、アメリカはデモクラシーの素晴らしい国です、みなさんわかりましたね。
スカウトにはわからない。なぜなら教室では先生はそう言ったけれど、黒人のトムが、誰が見たって明らかな濡れ衣なのに、白人ばかりの陪審員が死刑の評決を下したときには、こうでなくちゃねえ、分をわきまえないニグロや連中を甘やかす人たちにはいい教訓になったでしょうよ、と裁判所の前で町の人と語り合っていたのを聞いたから。

スカウトの父親であり町の議員であり弁護士であるアッティカスは、おそらくいろいろな映画やテレビドラマ(たとえば「ER」なんかにも)のなかにいまでも再現されるアメリカ人の理想の男性像の原型なのだろう。だが、わたしはそれを冷ややかに嘲笑う気にはなれない。理想化され過ぎている、偽善的だというのは簡単だが、そういうことではないとわたしは思う。

それはもっと単純なことなのだ。

わたしには、本書で作者が描きたかったのは、きっと「ちゃんとした人間」であるとはどういうことか、というそれだけのことに過ぎないと思うのであります。

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2007/05/01

4月に見た映画

デスペラード(アメリカ/1995)
監督:ロバート・ロドリゲス
出演:アントニオ・バンデラス、サルマ・ハエック、ジョアキム・デ・アルメイダ、スティーヴ・ブシェーミ

ククーシュカ ラップランドの妖精(ロシア/2002)
監督:アレクサンドル・ロゴシュキン
出演:アンニ=クリスティーナ・ユーソ 、 ヴィル・ハーパサロ 、 ヴィクトル・ブィチコフ

Empire Falls(アメリカ/NBC/2005)
監督:フレッド・スケピシ
出演:エド・ハリス、ポール・ニューマン、フィリップ・シーモア・ホフマン、ジョアン・ウッドワード、ヘレン・ハント、ロビン・ライト・ペン、ダニエル・パナベイカー、ウィリアム・フィクトナー

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2007/04/18

Empire Falls

2007_0418 「Empire Falls」を見る。
2005年5月に全米のHome Box Officeで二夜に分けて放映されたテレビ・ムービーだが、出演者が豪華なことで話題になったようだ。日本ではwowowが先月放映した。

主人公はエンパイヤ・フォールズというさびれた町の食堂エンパイヤー・グリルのマネージャーであるマイルス・ロビーという一見冴えない男。これをエド・ハリスが演じている。その父親役にポール・ニューマン。マイルスの別れた妻がヘレン・ハント。食堂のオーナーであり、町を事実上支配している一族の冷酷な女主人フランシーンにジョアン・ウッドワード(ポール・ニューマンの奥さんですな)。
回想シーンに登場するマイルスの死んだ母親がロビン・ライト・ペン。(ショーン・ペンの奥さんですが、わたしこの女優を「Message in a Bottle」で知ってからのファンであります)彼女が休暇中に情を通じたC.B.という男が実は町の支配者一族の旦那(つまりフランシーンの夫)なんだけれど、これを「capote」のフィリップ・シーモア・ホフマンが見事に演じている。そのほかに、町の警察官のウィリアム・フィクトナーなど、個性的で一度見たら忘れられないような役者がたくさん登場する。
原作はリチャード・ルッソの小説で2002年のピュリッツアーを受賞。このTVムービーもエミー賞やゴールデングローヴ賞を受賞しているそうであります。

さて、この映画、錯綜した人間関係のなかで、あきらめていた夢や、自尊心を取り戻す勇気や、親子の愛情など様々なことを描いたなかなかいい作品なのだが、後半で学校での銃乱射事件がひとつの山になります。
ひとりの孤独で内気な少年が、マイルスの娘ティック(ダニエル・バナベーカー)に思いを寄せる。ティックは賢くて美しい少女だが、どちらかといえばおとなしく、美術関係に進むつもりのようだ。この少年がフットボールの花形選手で親分気取りの生徒にいじめられるのを、彼女はかばって美術クラスでは同席してやっている。(校長がそうしてやってほしいとたのむのを承諾したのだ)しかし貧困家庭で祖母以外の保護者もなく、学校では孤立し執拗ないじめにあっている少年に対して、「親切」で応えることはできても、それ以上の少年の望みには応えてやることはできないティック。
やがて破局が訪れる。
少年の抱き育んだ「夢」は生徒たちに銃弾を浴びせ、ティックを撃ち殺すことだった—

報道によれば、一昨日のヴァージニア工科大の「shooting rampage」の犯人も、なにか暗い「夢」をその心の奥底で育てていたように思える。この事件の背景は、よくわからないが、焦がれるほどの恋慕にとっては、「ただ親切なだけ」は拒絶よりかえって仇になることもある。あるいはそういうことだったのではないかという気がするな。

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2007/04/01

3月に観た映画

シリアナ(アメリカ/2005)
監督:スティーヴン・ギャガン
出演:ジョージ・クルーニー 、マット・デイモン 、クリストファー・プラマー 、ウィリアム・ハート

UDON(2006)
監督:本広克行
出演:小西真奈美 、鈴木京香、小日向文世

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2007/03/01

2月に観た映画

ピュア(イギリス/2002)
監督:ギリーズ・マッキノン
出演:キーラ・ナイトレイ、モリー・パーカー、デヴィッド・ウェンハム、ハリー・イーデン

12人の優しい日本人
監督:中原俊
脚本:三谷幸喜、東京サンシャインボーイズ
出演:塩見三省、相島一之、上田耕一、二瓶鮫一、中村まり子、大河内浩、梶原善、山下容莉枝、村松克巳、林美智子、豊川悦司、加藤善博、久保晶、近藤芳正

オスカー・ワイルドの カンタベリー城と秘密の扉
監督:イザベル・クレーフェルト
出演:マルティン・クルツ 、アルミン・ローテ 、クラウス・ベーレント 、ザスキア・フェスター

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2007/02/01

1月に観た映画

オペラ座の怪人(アメリカ・イギリス/2004)
監督:ジョエル・シュマッカー
出演 :ジェラルド・バトラー 、エミー・ロッサム 、パトリック・ウィルソン 、ミランダ・リチャードソン 、ミニー・ドライヴァー

ユメ十夜
監督:実相寺昭雄、市川崑、清水崇、清水厚、豊島圭介、松尾スズキ、天野喜孝・河原真明、山下敦弘、西川美和、山口雄大
出演:小泉今日子、香椎由宇、市川実日子、緒川たまき、本上まなみ、阿部サダヲ、TOZAWA

ジャケット(アメリカ/2005年)
監督:ジョン・メイブリー
出演:エイドリアン・ブロディ、キーラ・ナイトレイ、クリス・クリストファーソン

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2007/01/30

ユメ十夜

2007_0130

映画「ユメ十夜」を観る。
漱石の『夢十夜』を下敷きにした十話のオムニバス映画。それぞれ十夜の夢を別々の監督が撮っている。原作にかなり忠実な映像もあるし、原作は映像をインスパイアする核になっているだけの作品もある。(じつは大半が後者である)
だが原作とまったくかけはなれたかに思えた作品が、あとでもう一度斜め読みすると、意外に漱石の夢の雰囲気を生かしているように思えるところもある。
こうしてさまざまなテーストの映像作品を続けざまに見ていると、日本映画の今現在の質をはかることができるようだ。そしてその質は、嬉しいことに結構高い。
以下それぞれのスタッフ、キャストの一部を自分用の覚えとして。

 第一夜 監督:実相寺昭雄/脚本:久世光彦/小泉今日子
 第二夜 監督:市川崑
 第三夜 監督・脚本:清水崇/香椎由宇
 第四夜 監督:清水厚/脚本:猪爪慎一
 第五夜 監督・脚本:豊島圭介/市川実日子
 第六夜 監督・脚本:松尾スズキ/TOZAWA
 第七夜 監督:天野喜孝・河原真明
 第八夜 監督・脚本:山下敦弘
 第九夜 監督・脚本:西川美和/緒川たまき、ピエール瀧
 第十夜 監督・脚本:山口雄大/本上まなみ

個人的に気に入ったのは、第六夜の、ほとんど全編がTOZAWAというダンサーの切れのよい音楽に合わせたダンスで構成された一編。
ちなみに漱石の小説はこう始まる。このなんともバカバカしいような味がよく出ている。

    第六夜
運慶が護国寺の山門で仁王を刻んでいると云う評判だから、散歩ながら行って見ると、自分より先にもう大勢集まって、しきりに下馬評をやっていた。

第一夜の実相寺昭雄と久世光彦はすでにこの世の人ではない。あるいはこれが遺作ということになるのかも知れない。

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2007/01/08

「寅さん」という季語

テレビ朝日の「芸能人雑学王最強No.1決定戦」を見ていたら、敗者復活戦の「ウソ、ホント」クイズというのをやっていた。爆笑問題の太田光が出題する問題がウソかホントか、失格したタレントたちが自分が思う方に移動して、敗者復活の枠を絞って行くという趣向である。
こういうのはなんとなく気になるもので、ふーんとか言いながら見ていたら、何問目かに俳句の問題というのが出た。
こういうのである。(テレビ朝日の公式番組サイトからコピペする)

<問題>
俳句には季節を表す「季語」があります。こちらのように、春を表す季語には「桜」、夏を表す季語には「入道雲」、秋を表す季語には「月見」などがありますが、実は、冬を表す季語に、映画“男はつらいよ”でおなじみの「寅さん」という季語がある。ホントかウソか?

クイズ番組の作り方からいえば、俳句みたいな権威的でうるさそうな世界で、そんなさばけた粋な計らいはないだろうから、みんなに「ウソ」と思わせて実は「ホント」でした、という流れだろうとまず予想できる。
だが、ここでわたしは記憶の底を浚ってみたが、「寅さん」を冬に入れたような歳時記はみたことがない。そんなものがあれば、「おやおや」と覚えているはずだ。
ということは、上記のような番組のつくりかたから推理する奴のさらに裏をかく出題か、こりゃ、なかなか、あなどれないな。これは「ウソ」が正解だぁ、と、がってん手のひらを叩いた。

俳句ファンのみなさんはどうお答えになるだろうか。

ところが「正解」は「ホント」だというのですね。へぇ?

ということで、なぜこれが「ホント」であるのか、番組の解説を、上記と同じようにコピペしてみよう。

「寅さん」は本当に冬の季語としてあるんですね。
(黛まどかさんが主催していた俳句サークル「月刊ヘップバーン」にて認定されている。)
へぇ〜!!
映画「男はつらいよ」が毎年の正月映画として定着していたことから、「寅さん」が冬の季語となったんです!
すごいよね〜!!    

いや、ほんとにすごいですね、別の意味で。それ以上みる気が失せたのは言うまでもない。(笑)

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2006/12/31

12月に見た映画

エターナル・サンシャイン(2004/アメリカ)
監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:ジム・キャリー 、ケイト・ウィンスレット 、キルステン・ダンスト 、マーク・ラファロ 、イライジャ・ウッド 、トム・ウィルキンソン

ドグマ(1999/アメリカ)
監督:ケヴィン・スミス
出演:ベン・アフレック、マット・デイモン、リンダ・フィオレンティーノ、アラン・リックマン

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2006/12/02

我が懐かしの海外ドラマ

わたしの子供時代、60年代から70年代にかけて、吹き替えの海外ドラマをよく見ていた。先日あまり年の違わないアメリカ人とその頃に見てた海外ドラマの話をしたら、へえ、そんなもんまで日本で放送してたのとあきれ顔であった。
ただ、こっちは当然邦題で覚えているので、題名だけでは通じないことが多い。

「ええと、宇宙家族ロビンソンね」
「スイスの?」
「いやそうじゃなくて、科学者一家が宇宙で難破して、ドクター・スミスっていう密航者がいつもみんなに迷惑かけてさ」
「ああ、ロスト・イン・スペース!」

なんて感じで結構盛り上がったのだが、この際だから、わたしの好きだった60年代の海外番組ベスト10など。

  1. 宇宙家族ロビンソン/Lost in Space
  2. タイムトンネル/The Time Tunnel
  3. インベーダー/The Invaders
  4. 0011ナポレオン・ソロ/The Man from U.N.C.L.E.
  5. 逃亡者/The Fugitive
  6. スパイ大作戦/Mission:Impossible
  7. プロスパイ/It Takes A Theif
  8. 奥さまは魔女/Bewitched
  9. 原子力潜水艦シービュー号/Voyage to the Bottom of the Sea
  10. 巨人の惑星/Land of The Giants

こうして並べてみると、宇宙家族ロビンソン、逃亡者、奥様は魔女、スパイ大作戦は、リメイクもしくは本歌取りがなされているなあ。それだけよくできていたということだろう。

個人的に好きだったのは、「インベーダー」のイントロ。遠く、暗い宇宙の奥から地球を目指してやってくるもの、それをいま私たちはインベーダーと呼ぼう。滅び行く星からの侵入者たち。彼らの目的は、地球を我が物にすることにあるのだ。デビッド・ビンセントは、とある夜明け、仕事を済ませての帰り、激しい疲労と戦いながら車を走らせていたが、迷い込んだ田舎道で、彼らインベーダーを目撃した。――というナレーションの「とある夜明け」というところに心が震えた。(笑)
「プロスパイ」は、のちに「スパイのライセンス」に名前を変えたが、ロバート・ワグナーの声を城達也がやってかっこよかったなあ。宝石泥棒のプレイボーイがCIAのスパイになるというオハナシで、主人公の名前はアレックス・マンデー。
「タイムトンネル」も、たぶん今見たら、ばかばかしい大道具で苦笑するに決まっているけど、あの頃は夢中で見ていたなあ。

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2006/12/01

11月に見た映画

クラッシュ(2005/アメリカ)
監督:ポール・ハギス
出演:マット・ディロン、ライアン・フィリップ、サンディ・ニュートン、ドン・チードル、マイケル・ペニャ、

巷説百物語 狐者異
監督:堤幸彦
出演: 渡部篤郎、小池栄子、大杉漣、嶋田久作、遠藤憲一、吹越満

歓びを歌にのせて(2004/スウェーデン)
監督:ケイ・ポラック
出演:ミカエル・ニュクビスト 、 フリーダ・ハルグレン 、 ヘレン・ヒョホルム 、 レナート・ヤーケル

デッドマン(2005/アメリカ)
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:ジョニー・デップ、ゲイリー・ファーマー、ロバート・ミッチャム、
音楽:ニール・ヤング

ドッジボール(2004/アメリカ)
監督:ローソン・マーシャル・サーバー      
出演:ヴィンス・ヴォーン、ベン・スティラー、クリスティーン・テイラー

奥さまは魔女(2005/アメリカ)
監督:ノーラ・エフロン
出演:ニコール・キッドマン 、ウィル・フェレル 、シャーリー・マクレーン 、マイケル・ケイン

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2006/11/01

10月に見た映画

妹の恋人(1993/アメリカ)
監督:ジェレマイア・チェチック
出演:ジョニー・デップ、メアリー・スチュアート・マスターソン、エイダン・クイン、ジュリアン・ムーア

カポーティ(2005/アメリカ)
監督:ベネット・ミラー
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、キャサリン・キーナー、クリフトン・コリンズ・Jr、クリス・クーパー

キル・ビル(2003/アメリカ)
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ユマ・サーマン、ルーシー・リュー、ダリル・ハンナ、ジュリー・ドレフュス、栗山千明

イーオン・フラックス(2005/アメリカ)
監督:カリン・クサマ
出演:シャーリーズ・セロン 、マートン・ソーカス 、ジョニー・リー・ミラー 、アメリア・ワーナー 、ソフィー・オコネドー 、フランシス・マクドーマンド

ナショナル・トレジャー(2004/アメリカ)
監督:ジョン・タートルトーブ
出演:ニコラス・ケイジ 、ダイアン・クルーガー 、ハーヴェイ・カイテル 、ジョン・ヴォイト

サマータイムマシン・ブルース(2005)
監督:本広克行
出演:瑛太 、上野樹里 、与座嘉秋 、川岡大次郎 、ムロツヨシ 、永野宗典

奇人たちの晩餐会(1999/フランス)
監督:フランシス・ヴェベール
出演:ジャック・ヴィルレ、ティエリー・レルミット、フランシス・ユステール

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2006/10/03

capote クラシックな傑作

あるイギリス人がニューヨークへ行った。どのパーティに出ても、トルーマン・カポーティの『冷血』の噂でもちきりである。みんながあまりすごいすごいというので、どこへ行けば売っているかと訊いたら、まだ出ていないという。書いている最中なんですね。
「どうしてあなたは出ていない本を褒めるのか」と、あるパーティで『冷血』の話をしている女の子に言ったら、「あなたはどうして読んでもいない小説の悪口をいうのか」と言われた。(笑)

2006_1003これは、残念ながら何の本から抜いたのか書いていないのだが、対談集かなにかの丸谷才一さんの発言。
映画「カポーティ」を見ながら、このエピソードを思い出した。映画の中でもニューヨークのスノビッシュなパーティ風景が何度か出て来るが、いかにもありそうな話で、60年代アメリカの文芸愛好家連中のちょっと気取った当時の雰囲気をよく伝えているのだろう。

ここで、急いで恥をしのんで白状しておくが、わたしはカポーティの小説を一冊も読んだことがない。「ティファニーで朝食を」にいたっては映画さえ見たことがない。たまたまだと思うのだけれど、この作家はどうも食指が動かなかったのですね。
映画「カポーティ」を見るまで、この作家がカミングアウトしたゲイであったことも知らなかったのだが、なんとなくわたしが読まずぎらいを決め込む作家や詩人は、ゲイであることが多いのはなぜだろう。一度、よく考えてみたほうがいいかなあ。(笑)

さて映画「カポーティ」は前評判に違わぬよい出来で、こういう映画は大好きであります。クルマやファッションやインテリアなどが、重厚で渋くて見ていてため息がでるくらい絵になる。

ところで、これまたこの映画を見るまで知らなかったことだが、『アラバマ物語』の作者であるネル・ハーバー・リー(映画ではキャサリン・キーナーが好演)は、カポーティのアラバマ時代の幼なじみだったんだそうです。へえ。
いやじつは、映画の「アラバマ物語」もわたしは見ていないので、つくづく、カポーティには縁がなかったということになる。(笑)

でもせっかくだから、二、三冊カポーティは英語で読んでみるとするかな。

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2006/10/01

9月に見た映画

ドア・イン・ザ・フロア(2004/アメリカ)
監督・脚本: トッド・ウィリアムズ
出演: キム・ベイシンガー、ジェフ・ブリッジス、ジョン・フォスター、エル・ファニング、ミミ・ロジャース

博士の愛した数式(2005)
監督:小泉堯史
出演:寺尾聰 、深津絵里 、齋藤隆成 、吉岡秀隆 、浅丘ルリ子

ALWAYS 三丁目の夕日(2005)
監督:山崎貴
出演:吉岡秀隆、薬師丸ひろ子、堤真一、小雪、堀北真希、三浦友和、もたいまさこ

ウィスキー(2004/ウルグアイ)
監督:フアン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール
出演:アンドレス・パソス、ミレージャ・パスクアル、ホルヘ・ボラーニ

ギャラクシー・クエスト(1999/アメリカ)
監督:ディーン・パリソット
出演:ティム・アレン、シガーニー・ウィーバー、アラン・リックマン、トニー・シャルーブ

プライドと偏見(2005/イギリス)
監督:ジョー・ライト
出演:キーラ・ナイトレイ、マシュー・マクファディン、ドナルド・サザーランド、ジュディ・デンチ

シン・シティ(2005/アメリカ)
監督:フランク・ミラー、ロバート・ロドリゲス、クエンティン・タランティーノ    
出演:ブルース・ウィリス、ミッキー・ローク、クライヴ・オーウェン、ジェシカ・アルバ、ベニチオ・デル・トロ、イライジャ・ウッド

丹下左膳 百万両の壺
監督:津田豊滋
出演:豊川悦司 、和久井映見 、野村宏伸 、麻生久美子

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2006/09/05

小川洋子、ストットルマイヤー警部

今頃何を、というような話題ですが、DVDを見ながら自分で気づいたことはなんとなく嬉しいもので。

その1
映画「博士の愛した数式」の薪能の場面(原作にはたしかなかったはずですが)に、観客の一人として小川洋子さんが出ておられますね。かなり大きなアップですので、びっくりしました。なかなか、お茶目でかわいらしい。(笑)

その2
Tedch09 家族が「羊たちの沈黙」のメイキングビデオの出演者インタビューを見ていたので、なんとなく横目で見ていたら、どこかで見たような顔が。あれ、これってもしかしたら・・・
「羊」で犯人バッファロー・ビルを演じたのは、テッド・レヴィン。調べてみたら、やっぱりそうでした。TVシリーズの「名探偵モンク」のサンフランシスコ市警、リーランド・ストットルマイヤー警部じゃないですか。
「羊たちの沈黙」はビデオやテレビ放送で何回も見ているし、「名探偵モンク」はわたしのお気に入りのシリーズなので、シーズン1、2ともほぼ毎週かかさず見ていたのに、いままで全然気がつかなかった。ああ、びっくりした。

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2006/09/01

8月に見た映画

The Forgotten (2004)
監督:ジョセフ・ルーベン
出演:ジュリアン・ムーア、ドミニク・ウェスト、アンソニー・エドワーズ

マダムと奇人と殺人と(2004/ベルギー/フランス)
監督・脚本 : ナディーヌ・モンフィス
出演 : ミシェル・ブラン 、 ディディエ・ブルドン 、 ジョジアーヌ・バラスコ

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2006/08/01

7月に見た映画

Mr.&Mrs. スミス(2005)
監督:ダグ・リーマン
出演:アンジェリーナ・ジョリー、ブラッド・ピット

スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 (2005)
監督:ジョージ・ルーカス
出演:ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、ヘイデン・クリステンセン

パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち (2003)
監督:ゴア・ヴァービンスキー
出演:ジョニー・デップ、ジェフリー・ラッシュ、キーラ・ナイトレイ、オーランド・ブルーム

ドミノ(2005)
監督:トニー・スコット      
出演:     キーラ・ナイトレイ、ミッキー・ローク、ルーシー・リュー、クリストファー・ウォーケン 、ジャクリーン・ビセット

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2006/07/01

6月に見た映画

間宮兄弟
監督:森田芳光
出演:佐々木蔵之介 、塚地武雅 、常盤貴子 、沢尻エリカ 、北川景子

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2006/06/13

これはオススメ「間宮兄弟」

「ぼくの知っている限り、女性はいつも選択に忙しい」とバートは言葉を続けた。
「男が五人いる部屋に入って来たとするね。女性の心はすぐ事務機械のように働いて、その五人に順位をつける。第一志望、第二志望、まあまあ我慢できる、ひょっとしたら、絶対いや」
(アーウィン・ショウ『その時ぼくらは三人だった』)

「間宮兄弟」を梅田ガーデンシネマで見る。たのしい映画だった。
兄の明信はビール会社の研究員、弟の徹信は小学校の用務員。二人暮らしのマンションは、壁じゅうの本棚に整然と並んだ本やおもちゃや熱帯魚などに囲まれてなんとも快適そうである。二人とももう30を過ぎているのにどうやらこれまでちゃんとした恋愛体験がないらしい。

Mamiya_bro 兄(佐々木蔵之介)の方は、まあ現実なら「第一志望」か「第二志望」の順位が妥当なのだろうが、あくまで映画のなかでは「ひょっとしたら」というポジショニングだし、弟(ドランクドラゴンの塚地武雅が好演)の方は「絶対いや」——というというよりも、そもそも女性の目から見ると「対象外」という感じになるのだろう。もっとも本人にもそれはちゃんとわかっているらしい。ときどき、傷ついたツカジは新幹線の車両基地で新幹線を眺めながら泣くのである。そんな弟を兄はおどけながらなぐさめる。(ここのシークエンスは好きだなあ)

さてこの兄弟が、自宅でカレーライス・パーティを開くという口実であこがれのレンタル・ビデオ屋のアルバイト店員、直子(沢尻エリカ)と、弟の小学校の教師、葛原依子(常盤貴子)を招待する。なにしろ、本来は「対象外」の兄弟だから、それぞれ好奇心やら不倫の行き詰まりのもやもやから招待に応じたものの、女たちの方には、はなからそんな気はない。
ということで、この兄弟をめぐる人間関係が、発展するのか、しないのか・・・

監督は森田芳光で映像はわたしの好みである。
そして特筆すべきは沢尻エリカ。
いや、この新進女優はかわいいなあ、ファンクラブに入ろうかしら。「ことわる!」と言ってくれたら最高であります。——って、これは映画を見ていないとわからんか。

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2006/06/01

5月に見た映画

かもめ食堂
監督・脚本:萩上直子
出演:小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ

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2006/05/10

かもめ食堂

「きらいなことをやらないできただけですから」

正確な台詞は覚えていないのだが、主人公のサチエ(小林聡美)が、あなたは好きなことができてうらやましいと言われて、こんな感じのことを言う。
うん、そうだな。たしかに、そうすればよかったのかも知れないな。
映画を見終えたあと、ちょっとだけ心が痛んだ。サラリーマンとしてきらいなことばかりやって生きてきたなあ、という悔恨と哀惜・・・まあ、たまには自己憐憫に浸ることもありますわな。(笑)

はじめからきらいなことはやらないと言ってしまってはそれまで。
やってみて、きらいだとわかることもある。
好きとかきらいとかいう以前に、やらなければ仕方がないことだってある。
きらいだと思っていたことが、あとから自分の肥やしになったり、生きがいになったりすることもある。
それでも、どこかある時点で、わたしはもうきらいなことはやらないと宣言して、生きていきたい気持ちはよくわかる。
Prof
この映画でたぶん一番存在感を示しているのが、マサコ(もたいまさこ)だとわたしは思ったけれど、彼女のにっこり笑う表情のなかには、ちまちました自分の損得だけにこだわる貧しさがない。それはたぶん、自分の得にならないことはうまくこれを回避して自己利益の最大化をはかることが賢い生き方である、というような生き方を選ぶことが、わたしの「きらいなこと」だというメッセージをわたしたちが受け取るからではないかと、思う。
うまく言えないのだが、映画をご覧になった方は、おそらくわかってくださるのではないかと思う。
以上、雑駁ながら「かもめ食堂」の感想です。
あ、そうそう、この映画見ると、おいしいコーヒーが飲みたくなりますね。

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2006/05/01

4月に見た映画

ブラックホーク・ダウン(アメリカ/2001)
監督:リドリー・スコット
出演:    ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー、トム・サイズモア、サム・シェパード、エリック・バナ

皇帝ペンギン(フランス/2005)
監督:リュック・ジャケ

チャーリーとチョコレート工場
監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ 、フレディ・ハイモア 、デヴィッド・ケリー 、ヘレナ・ボナム=カーター 、ノア・テイラー

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2006/04/01

3月に見た映画

少女の髪どめ(イラン/2001)
監督:マジッド・マジディ
出演:ホセイン・アベディニ、モハマド・アミル・ナジ

パリのレストラン(フランス/1995)
監督・脚本:    ローラン・ベネギ
出演:    ミシェル・オーモン、ステファーヌ・オードラン 

WATARIDORI(フランス/2003)
総監督: ジャック・ペラン

ザ・インタープリーター(アメリカ/2005)
監督: シドニー・ポラック
出演: ニコール・キッドマン、ショーン・ペン、キャサリン・キーナー

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2006/03/28

The Interpreter

「ザ・インタープリーター/ The Interpreter」をDVDで見る。
DVDにはシドニー・ポラック監督による画面サイズとその効果の違いの解説がついていて、これがなかなか面白かった。この映画はワイドスクリーンで撮られてその画面の縦横比率でDVDにされているのだが、テレビ用にパンスキャンされると、映像がどのように変化するかを、この映画のいくつかのカットをつかって説明している。
要点は、パンスキャンされた映像は画面の左右が切られてしまうので、映像に盛り込まれた情報の量が不足してしまうために、当初の映像作家の狙いが生かされなくなるということで、実際のカットをつかって説明されると、なるほどなあと納得する。こんなに違う映像になってしまうのに、わたしがつくった作品だとして観客に見られてしまうのは嫌だ、と言うのは、たしかに無理もない。

この「ザ・インタープリーター」という映画もやはり、ストーリーをきちんと理解しようと思うと、いろいろ辻褄があわない箇所や、無理な設定じゃないかしらと首を傾げるところが多くがあって、どうも気分がよろしくないのだが 、まあ、ストーリーより映像=映画の文法を読みなさい、と言われるとそんなもんかしらと思わないでもない。そういう意味では、これは映