2015年12月20日 (日)

読書灯点けつぱなしの霜夜かな

麺棒の径三センチ年惜しむ
餅つきの湯気濃く匂ふ厨かな
ゆたんぽのすこし凹んでゐたりけり
担当は脚立一段煤払ひ
陶兵衛の火鉢を抱えお取越
右まわり左回りの焚火かな
ちやん付けで名前呼びあふ木の葉髪
一輪車一杯ほどの葱洗ふ
寒茜出荷の箱のガムテープ

2015年12月 5日 (土)

気に食はぬ電話は取らず花八手
山茶花の朽ちて垣根に残りけり
蹲の苔の湿りと実南天
万両をゆらす小鳥のさえずりも
幾つもの冬菊の束投げ出して
散歩人茶の花の名を告げてゆく
訪ふ人のしばらく絶えて石蕗の花
見上ぐとき空の暗さや枯尾花
枯萩や相談会に来いといふ
侘助の固い一枝をヤクルトに

2015年11月20日 (金)

チワワにも愛想言ひつつ冬菜売る

初時雨後ろ姿を見てゐたり
小春日や多肉植物増殖す
日を浴びて色の礫の蜜柑かな
辞書二冊あれば事足る炬燵の間
パン屑と積もる埃や冬ぬくし
不覚にも声をもらしぬ朴落葉
ふと父の声よみがへる冬木道
雨の森黒く重なる朽葉かな
落葉焚く匂いばかりの髪洗ふ

2015年10月 8日 (木)

コスモスの聯隊に隠れてしまふ
蜜蝋を塗っては拭ふ瓢かな
大それた夢は持たないねこじやらし
秋の浜イカ焼き屋には回るイカ
流木を拾ふ年寄いわし雲
幼子が怒る螳螂脅しけり
土埃舞ふ午後カンナ禍々し
草の実や湿つた土に溢れたり
穴まどひとくに追ひやるまでもなく
稲雀親分子分揃ひをり

2015年9月 3日 (木)

八月句稿

思春期を遠く眺めて星祭
八月の水系部落巡りけり
デッキより眇めて見上ぐ昼の月
数珠の手で藪蚊を叩く墓参
幾たびも羽黒蜻蛉に生まれけり
がちやがちやのあまりうるさく叱らるる
ご院主にあてる二台の扇風機
遊歩道夕べの芙蓉しをるるも
このへんでもうよからうと桐一葉
流れ星見たと思へど自信なく

2015年7月 2日 (木)

水底の影から影へ錦鯉

一日を野良で過ごして夕端居

白鷺の大き枝をば銜へをり

手ぬぐいを首から外し夕焼見る

2015年6月29日 (月)

百合の香や艶やかな音の部屋に満ち

2015年6月28日 (日)

ソーダ水空気に還るときの音

2015年6月27日 (土)

梅雨の雷廊下の奥にひびきけり

中の間に独り残され昼寝覚

2015年6月26日 (金)

仇として踏み捩るかな夜盗虫
ゆるい坂ゆつくり下るえごの花

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